不気味、不条理、不思議。でも、なぜか美しい。

端正な文章で綴られる、まるで『今昔物語集』の一話のような、
救いようのない、おぞましくて物悲しい短編怪談。

人を喰らう鬼と成り果てた美しい女と、
彼女の哀れな末期の願いを聞き入れてしまった行者。

喰らえば救われるのか、堕ちるだけか。
山の中、白骨の転がるその場所は、
時を経ても延々と、次なる鬼を生み続けているのではないか。
どうしようもないのに、何かがとても美しく思えて、心惹かれた。

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