いつまでも、心に留めておきたい物語

ふと、この話をよんで、宮部みゆきさんの『英雄の書』を思い出しました。この二作品は、話の筋こそ違えど、どちらも、作品ごとを一つの世界として捉え、その一つずつの世界をめぐる物語としているからだと思います。

もしも、本に命があるならば、不満がないわけがない。

本の世界は不条理と、悪意と、絶望に満ちていて、最後が良くても、全てが明るいなんてない。読者からしてみれば、終わり良ければすべて良しかもしれないが、本の登場人物からしてみれば迷惑でしかない。

そういう不満を持つ本は、作中の言葉を借りるなら「傷ついてしまう」のです。

その不満の解消を願うあまり、歪んでしまうのです。

その解決を行うのは、登場人物のサミュエル、アルベールたちが担う「修復士」たちです。ヒロインのセレスはそのアルバイト的立ち位置で、修復の力がないからこそいい役割をしてくれています。

本の修復を通し、明かされる彼らの過去や、彼らの成長は必見です!猛プッシュだ!

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