第54話「ママに会いたくなったらば」
今日は妻の命日だ。
『息子は4年生、娘も2年生になったよ。まだまだ俺も頑張るぞ!』
と、墓前で手を合わせていた時だった。
「ママに会いたくなったらどうするんだっけ?」
と、娘が言った。
「目をつぶるんだよ」
と、息子が答えた。妻が子どもたちに最後に教えた事。
『ママに会いたくなったら、目をつぶってごらん。ママが見えるからね』
娘は目をしっかりつぶると……
「だけど一瞬しか見えなかった」
と、言っていた。そんな二人のやり取りを聞きながら、俺は息子にきいた。
「ママは何してた?」
すると息子は……
「僕をギュッとして笑ってた」
と、言った。
「うっ、そうか」
それを聞いた俺は、なぜだろう?急に涙が出た。
「私も目をつぶろっと」
と、娘が言うと……
「みんなでギュッして、笑っているよ」
と、言っていた。
「「わっ!苦しいよ」」
驚く子どもたち。気づくと俺は二人をギュッと抱きしめていた。
「パパもギュッとしたら、 ママが笑っていて……
いつも側にいるよって、言ってたよ」
おしまい
SS ヒューマンラブ( *´・ω)/(;д; ) 草風水樹(くさかぜみずき) @kusakazemizuki
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます