見上げた星に手を伸ばす勇気をくれる物語!
- ★★★ Excellent!!!
《惑星エフ》と《惑星ジー》という二つの星を巡る物語。
《惑星エフ》から《惑星ジー》を望遠鏡で覗いてるスレツは、一瞬――作中の単位で『一メモリ』だけ会える少女ジェムに会いたいと願う。しかし、《惑星エフ》には航空技術がなく、《惑星ジー》に向う手だてはない。
この物語には、スレツが一人の少女を願うロマンチックな側面と、そのための発明を開発する発明史の二つの側面がある。発明史を支えるのはライニーカールという女の子で、彼女の直向きさや、特別でありたいという感情は、おそらく誰もが一度は抱いてしまう感情で、ものすごく読者に突き刺さると思う。彼女の他にも、天才のジジジクや『錬素局』のミヒトなど、個性豊かなキャラクターが登場する。
作中で語られる技術や単語にもオリジナリティがあり、それらが童話のような優しい雰囲気で綴られ、まるで『スタジオ・ジブリ』のような冒険活劇が繰り広げられる。
物語の佳境でスレツとライニーカールが《惑星ジー》に向って飛び立つのだが、それまで二人の行動を見守ってきた読者なら思わずガッツポーズをしてしまうだろう。その後の二人が、無事に《惑星ジー》にたどりつけたのか、望遠鏡で見ることしかできなかった少女ジェムと出会えたのかは――
ぜひ、その目で確かめてほしい!