世界のどこかでいつ起こってもおかしくない物語

 シリア情勢、ISやマフィアの暗躍、戦闘。破壊される街と命を奪われる人々。
 今、日本に住んでいる我々には遠い国の出来事で、近づかなければ関わることのない、まさに物語のような現実です。
 それをとてもリアルに、身近に感じさせるこの作品は、これらの問題を我がことのように考えさせてくれます。

 それだけではなく、エンターテイメントとしての役割も十分に果たしており、特に、タイトルの意味を理解できてからのクライマックスは目が離せません。
 それは、登場人物達に十分に感情移入できるからであり、主人公だけでなく、たまたま飛行機に乗り合わせていた人々も誰一人欠けることなく助かってほしい、と強く願わない人はいないでしょう。
 それほどまでに魅力的に人物が描かれ、ハラハラさせる展開で心をひきつけるのです。

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