透明な、どこまでも透明な想い

徹底的なロボ描写。徹底的なSF描写。そして緻密に計算された戦闘描写と、大胆かつカタルシス溢れる大破砕描写……。


本作には、語りきれないほどの数々の魅力が詰まっています。そして、それらの魅力を一つの線でつなぐのが、主人公ハルの、ヒロインであるフユへの想いです。

残酷とも言える描写や、ある種、淡々とするに過ぎる星間描写などもありますが、読み終わった後ではそれら全てが主人公ハルの覚悟と決意、そして必死の想いの現れであったことが良くわかります。
他のレビュアーの方が仰っているように、その想いは半端ではありません。その想いの強さは、もはや透明感すら感じるほどです。そして、本作を全話読み終わったその瞬間、ハルの持つその透明な想いは、星々と大地、そしてハルとフユ、二人の頭上に回帰します。

この構成は見事としか言い様がありません。


ただ、一つ惜しい点を上げるならば、物語の導入が弱く、それでいて非常に過酷なため、心臓の弱い私のような読者は読むのを止めてしまう可能性があることです。より広く、多くの方に『ラストまで』読んで欲しいが故に、この点だけは本当に指摘せざるを得ません。


いずれにせよ、物語全体をみたときにその素晴らしさが最大限昇華される作品です。どうか一人でも多くの方に読まれることを祈って、ここにレビューを書かせて頂きました。

素晴らしい作品を読ませて頂き、本当にありがとうございました!

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