【設定】武装一覧

■609.6mm試製甲型電磁投射砲〈ブリッツバスター〉

 短縮状態での砲身長は70m以上。二つ折りの砲身を伸ばした破砕投射形態に至っては、全長150mにも達する規格外の超巨大レールガン。


 対消滅エンジン由来の莫大な電力を注ぎ込み、およそ米俵ほどもある徹甲弾をマッハ50以上の初速で撃ち出すことが可能。砲口初速が第三宇宙速度を超えてしまう為、理論上、エルンダーグが一度砲撃すると砲弾は二度と太陽系に帰って来ない。


 また、地球上においては一般に、落着する隕石の速度はマッハ20近くに達するとされている。それを考えれば、ブリッツバスターから撃ち出される徹甲弾の一撃はまさに隕石落着にも等しい。着弾すればいかに強靭な外訪者アウターといえども、たった一撃で粉砕するほどの破壊力を発揮する。


 反動軽減には重力制御システムを利用している為、発射モードの切り替えでコンマ数秒間隔での連射も可能。重力制御の併用無しでは、パイロットに致命的な負荷を強いる可能性が高い。


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■試製二八式超弩級攻城槍〈アローヘッド〉

 全長250m、重量260万tクラスのエルンダーグ用超弩級決戦装備。全長はかつて建造された戦艦大和に匹敵するほどの規模であり、エルンダーグを含めた総重量に至っては大和の40倍を超える。


 形状は、4枚の矢羽を持つ円錐。矢羽の一枚一枚は全長200mもの劣化ウラン合金製ブレードである為、敵へ高速で突撃してこそ破壊力を発揮する。


 また、これだけの超質量を推進させているのは、ノズル直径50mを超える極短パルスレーザー推進ブースター。かつて太陽系各地に打ち上げられた発電衛星からのレーザー照射を受け止めることで、毎秒数千回の爆発を耐えるノズルから強烈な推進力を発揮することが可能。変換効率は大きく下がるものの、緊急時にはエルンダーグ本体のレーザー発振を利用することも出来る仕様に。


 元々、アローヘッドはある種の対外訪者アウター用砲弾として設計されていた経緯から、運用には外部動力機関との連携が必須となる。対消滅機関を搭載するエルンダーグとのドッキング、レーザー衛星からのレーザー照射を必要とするのもその表れと言えるが、結果的に、自ら大出力エンジンを搭載しないアローヘッドは可能な限りコンパクト・・・・・なサイズに収まった。


 反面、運動性は皆無に等しい。密度の大きい劣化ウラン合金で線孔シャープ攻撃を耐え切るという突撃戦法しか出来ない為、単体運用では非常に脆い装備。ブースト型核ミサイル数千発、200Mt級自爆用水爆3発を内蔵するも、外訪者アウター相手では決定打にはならない。

 アローヘッドはその構造上、ウランとプルトニウムの塊と言っても過言ではない。エルンダーグそのものを巨大劣化ウラン弾と化す特攻装備とも言える。


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■五七式弩級徹甲杭〈パイルバンカー〉

 アローヘッドの竜骨に内蔵されている、エルンダーグ用小惑星破砕装備。外訪者アウター核の破砕を最終目的とする第四次超長距離遠征打撃計画において、必要不可欠な武装でもある。


 全長はエルンダーグとほぼ同じ、150m。

 50階建てビルに匹敵する鉄柱の内部に、射出機構を仕込んだ長大な鉄杭を潜ませている。鉄杭は万年筆にも似た構造となっており、尖端には射出孔が設けられている。


 この鉄杭で頑強な外殻を貫いた後、射出孔から対消滅弾頭を射出するのが本来の運用。敵を内部から確実に消滅させる為の武装であり、一撃で小惑星クラスの外訪者アウターすら葬り去る破壊力を発揮する。一度使用すれば、エルンダーグ用武装の中でも最大級のエネルギー総量を解放し得る。


 また、パイルバンカーのシンプルかつ頑強な構造を活かし、鉄柱のように振り回して敵を殴打する事も可能。エルンダーグはこれを近接戦闘用質量兵器として扱い、その破滅的な運動エネルギーで以て無数の外訪者アウターを砕いて来た。


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■五連衝角爪〈ラム・クロー〉

 エルンダーグの両手を構成する、計10本の紅い爪。その正体は、片手につき5本で1セットの五連装衝角。

 固定武装として装備されており、エルンダーグの肥大化した腕部を凶器足らしめている。機体本体の速度や馬力と組み合わせれば、まさしく破城槌の如き一撃を外訪者アウターに叩き込むことが出来る。


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■パルスレーザー迎撃システム

 エルンダーグの全身に搭載されている、計12000門のレーザー発振機構。レーザーや荷電粒子砲の類が通用しない外訪者アウターに対しては非力な為、搭載武装としては扱われていない。


 パルスレーザーが標的とするのは、むしろ軌道上を漂う大小さまざまなデブリとなる。デブリは時に数km/sオーダーの相対速度で衝突して来る為、まさに自然の砲撃が降って来るようなもの。そんなデブリに対して高出力レーザーを照射することで、標的を蒸発、ないし軌道を変更させることが出来る。


 重力制御システムの恩恵で縦横無尽な軌道航行を行うエルンダーグにとって、異なる速度ベクトルの脅威を排除可能な本システムの重要性は極めて高い。全速航行時に至っては、機体周囲で常にレーザーシステムが稼働しているほど。また、副次的な利用法に過ぎないものの、弾切れを考慮せずに対人掃討も行える。


 これほどの高出力パルスレーザーを発振しているのは、数十万本のファイバーを束ねた並列ファイバーアレイ。一門一門それぞれに発振ユニットと冷却装置が組み込まれ、秒間数十回もの断続照射で目標を焼き切る。

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墜奏のエルンダーグ【KRF大賞】 鉄乃 鉄機 @43121523

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