妖(あやかし)伝承の学園物。ただし、ヒロインはくっそ可愛い。


 新しい中学校へ、教師として赴任した南雲は、学園理事の家である藤家に下宿することになる。そこには理事の妹である同校の女性教諭、怜がおり、とりあえず二人は、当初は会話も少ないのだが。

 となにやらラブコメ的な設定ではあるのだが、剣道部の顧問についた南雲先生は、山にちかい場所に建つこの学校に、いろいろと不思議な風習があることに気づく。
 そして裏山の途中には神社があり、その山頂にはいにしえの時代にこの地を支配していた化け物の伝承が残っていた。

 そしてやがて起こり始める怪異。目に見えない何か。謎の双子の少女。
 学校の剣道場の奥にある開かずの間には、なにがあるのか? そして藤家にかけられた呪いとは?

 同じ屋根の下に住む、やばいくらいにくらいに可愛いヒロインとの距離が縮まるにつれ、南雲はこの藤家にまつわる呪いに引き込まれてい行く。


 基本的に恋愛メインのプロットが組まれているにも拘わらず、唐突に差し挿まれる怪異。リアリティーのあるキャラクター。頭吹っ飛ばされるくらいに可愛いヒロイン。そして上古の昔より続く伝承と、その地に生きてきた人々の生活。
 それらがバランスよく語られていて、読者をまったく飽きさせない。

 読了すると、たった八万文字では語り尽くせない物語世界に、すこし物足りなさを感じてしまう。

 どうやら本作は、続編へのすこし長めのプロローグであったようだ。

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