狐憑き。それは迷信か、それとも……?

 短編とは思えない、厚みのある作品だった。始まりは新興宗教の教祖が、お祓いと称して一人の男の子を死亡せしめたということから始まる。主人公はその裏の事情の情報をもとに、教祖を揺すっていた。
 教祖と信者、強請り屋とネタ。裁判と判決など、全てにリアリティがあった。一見、ミステリーにも見えたこの作品は、途中でガラリと趣を変える。徐々に迫りくる恐怖。読了後には、これがホラーだったと納得するだろう。
 狐憑きやカルトめいた教祖など、信仰の面からはもちろんのこと、強請り屋を登場させることで、現実と非現実をバランスよく取り入れている。文章力も確かなものを感じさせてくれたし、あっという間にこの作品の虜になってしまった。おそらく、信仰や伝承などにも確かな知識をお持ちなのだろう。読んで損なしの作品だった。

 是非是非、ご一読ください。

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