ギムレットが板に付くには、彼はまだ半熟

ハードボイルドな大人の男の「いつもの」、ギムレット。
苦みと酸味とかすかな甘味のカクテルは強くて、
本当は彼にはまだ似合っていない。
それでもギムレットを注文するには理由がある。

成人式に際しての帰郷で、連れていかれた初めてのバー。
自然と交じる岡山弁が素敵だ。
背伸びしつつも幼いのが等身大な二十歳の彼と、
白髪の交じり始めた恩師の大人の男の顔の対比が利いてる。

何てことない話、かもしれない。
だけど味わい深い話で、こんな作品を読みたかった。
リアルでちょっといい人生ドラマを垣間見せる、
こういう作風がすごく好き。

今度、私も真似してギムレットを飲もう。
そして、この読書体験をチラリと思い出そう。

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