一味違う平安陰陽師の姿を描く物語

世知辛い人の世。
ままならない立場と貧困。
才能だけでは渡っていけない苦悩。

この作品の陰陽師はそういったものに囚われています。
囚われた上でその中で自分に何が出来るかを模索しながら生き抜いています。
時代は違えど、私たちにも響くものを与えてくれる物語です。
華々し過ぎない陰陽師の話ですが、そこがむしろ最大に面白い。

時に豪胆に、時に緊迫し、時にコミカルな場面を挟みながら、紡がれる化生と人間の在り方を問う物語。
笑いを、あるいは爽快感を片手に、最後の感動まで。是非一読も二読もして欲しい作品です。

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