平安陰陽奇譚

作者 嘉月青史

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★★★ Excellent!!!

作者の下調べが十分に生きている。
表現される平安の街並みはリアリティがあり、当時の華々しさとその裏にある苦しさをしっかりと描いている。

主人公は境遇からか多少歪んだものの受け取り方をする性格だが、周りの人々からの想いが芯を曲げずにいる所に好感を覚える。
また、主人公だけでなく他の人物の描写がしっかりできているので、とても「生きた」物語として仕上がっているのではないだろうか。

作者はアクションに定評があるのだが、今作は人物の有り様が生き生きと描き出され、物語全体の読み応えをより高めている。
常日頃から期待を持って追っている作者だが、本当にレベルアップの著しい方だと再認識する。

とりあえず、読めばいいと思う。
この作品の魅力は様々にあるので私の言葉であなたの受け取り様を決めてしまいたくない。
フラットな気持ちで、是非、没入感を味わってほしい。
平安の京で起きた1つの事件と、その結末を見届け、この奇譚を記したのはあなたかもしれない。

★★★ Excellent!!!

陰陽師である。
陰陽奇譚である。
見事である。

……と、三行で終わらせるにはあまりに惜しい。
描き出される平安の世の中は、作者の咀嚼されたたぐいまれなる知識によってありありと描き出され、私たちの脳内に投射される。
その平安京を、所狭しと動き回る、陰陽師に、もののふに、鬼!
これで面白くないわけがない!

ときに無残に、ときに美しく、そしてどこかコミカルに紡がれる陰陽奇譚。

是非とも皆様方にも読んで頂きたい逸品である。

★★★ Excellent!!!

世知辛い人の世。
ままならない立場と貧困。
才能だけでは渡っていけない苦悩。

この作品の陰陽師はそういったものに囚われています。
囚われた上でその中で自分に何が出来るかを模索しながら生き抜いています。
時代は違えど、私たちにも響くものを与えてくれる物語です。
華々し過ぎない陰陽師の話ですが、そこがむしろ最大に面白い。

時に豪胆に、時に緊迫し、時にコミカルな場面を挟みながら、紡がれる化生と人間の在り方を問う物語。
笑いを、あるいは爽快感を片手に、最後の感動まで。是非一読も二読もして欲しい作品です。