花筏のような、儚い恋心。

現状把握よりも未来への希望に心が向かう男子と、現実の自分の立ち位置を見極めた上で未来を設計する女子。
10代後半から20代前半というのは、男女でそんなギャップを抱える年頃ですよね。
第一志望の大学に通うべく浪人中の彼は、中学時代は地味で目立たなかった彼女と弘前公園で再会しますが、彼の思いは作品中で描写される花筏のようなものなのだと思いました。
咲き誇っていた頃とはまた違う花の美しさに気づく。
けれどもその美しさはほんの数日の儚いものであり──
甘酸っぱい読後感に浸りながら、夢を叶えた彼が甘い林檎を手にすることができるよう祈らずにはいられません。

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