妖怪たちの個性が際立っていて、めちゃ面白いです。おどろおどろしい妖怪ではなく、どこかお茶目で愛嬌のある妖怪たち。
主人公のクリニックの先生と彼に恋するクロコちゃん。この二人のやりとりがまた面白い!
ものすごく作り込まれた設定で、しっかりした構成に脱帽です。さらにはたくさんの縛り……。読む側としては楽しませてもらえますが、これは……考えるのスゴすぎ!
一話一話で楽しめますが、しっかりと次の話への伏線が張ってあり、読み進めるにつれて、ほぉほぉ、と唸らされます。
そしてラスト。ぜ~んぶまとめて大団円! これは絶対オススメです!
幸福は誰にとっても傍に置いておきたいものです。
それが人であっても、物であっても。
あれば幸せ!と思えるだけで、人生何とかなるものではないでしょうか。
そんな方にはこちら、『モノノ怪クリニック』はまさにうってつけの作品とお薦め致します。
お気楽だけど心の優しい山吹先生。
そんな先生を慕い、暗躍するクロコ。
両者の掛け合いと助け合いを軸に展開されていく本作品は、一話ごとに、抱くべき優しさと思いやりに充たされることでしょう。
果たしてクロコさんの想いは先生に届くのでしょうか?!
少し世の中がくすんで見えてしまっている貴方。
ぜひとも『七ツ闇クリニック』へ来院なさってみてはいかがでしょうか。
拙いレビュー失礼致しました。
患者さんは来ないけど、妖怪は来る、神社の中でひっそりと佇む診療所が舞台です☆
山吹先生は子どもにも妖怪にも優しいお医者さんなんですが、妖怪が出るという噂で、経営はいつもピンチ!
それを助けるのが、経理係みたいな役割のクロコちゃんです!
いつも赤字経営なので、先生にいつも口やかましく言い立てますが、心の中では先生のことが大好きな模様♡
そんなところどころ見せる乙女な一面がたまらなく可愛らしいです。
他にも個性的な妖怪や、妖怪に興味津々な子供たち。
彼/彼女らのやりとりが、ほっこりしていて、読んでいてとても楽しいです!
そして、最後は少しうるっとする場面も?
笑いあり涙ありの、ハートウォーミングな短篇集。
あなたの疲れた身体を癒やしてくれる、そんな心温まる物語です★
舞台は「モノノ怪が出る」という噂のせいで閑古鳥の鳴く診療所。
妖怪が見える医者・山吹先生と、何か秘密のありそうな少女・クロコ、そして賑やかなモノノ怪たちの織り成す、ちょっと笑えてほっこり心の温まる短編連作です。
先生とクロコの毎度のやりとりもさることながら、登場する妖怪がみんな本当にいいキャラです。
私のお気に入りは、マシンガントークでノリツッコミする大阪のおっちゃんみたいな『ばったもん』と、ガラの悪いお雛様率いるヤンキー集団『雛々団』。
回が進むごとに馴染みのメンバーが増えていくのが、大変楽しいです。
1話ごとに綺麗にお話が帰結するため、少しずつでも読みやすいのが良いところ。
報酬として(?)手に入ったアイテムが、わらしべ長者的に次の回で活用されるのも、よく考えられています。
ラストの大団円は、とても感動しました。
がやがやと賑やかで、ドタバタ楽しくて、ほわほわと優しさに感動する、素晴らしい作品です。
多くの人が楽しめる物語だと思います。ぜひお読みください!
かつて神社があった丘の上に、今は小さな診療所がある。
ところがこの診療所、慢性的な『赤字経営』なのだ。請求書の束を抱え、今月末の支払いにも困るありさま。
なんといっても患者が来ない。
そればかりか、どういうわけか妖怪ばかりが集まってくる。
支払いに頭を抱えつつ、表面上は大人の余裕を見せようとする医師・山吹。
その手助けをする謎めいた少女・クロコ。
そして、あまりにも個性的すぎる妖怪たち。
そんなキャラクター同士のやり取りが楽しい。
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主人公の山吹は、どこか気弱で頼りなく、裏では腹黒い本音を抱えていたりもする。
でも、腐っても医師。患者に対してはとことん真摯だ。
そして、底抜けのお人好しでもある。困っている者がいれば、自分が大損をするのも構わず全力で助けようとする。
そんな山吹のそばに寄り添うクロコは、どこか不思議な少女だ。
見た目は中学生くらいだが、頼りない山吹の世話をせっせと焼く。
山吹の不甲斐なさにため息をつきながらも、毎月のやりくりに頭を使い、ときには「治療費」の取り立てまで行うしっかり者。
そんな二人のもとに、入れ替わり立ち替わり妖怪たちが現れてはドタバタと騒ぎを起こす。
とても賑やかで楽しい作品だ。
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物語は、短いエピソードで区切られている。
それぞれ完結しているので、とても読みやすい。
そして、ちょっとユニークな構成になっている。
どのエピソードも、前半が山吹視点での「事件発生編」、そして後半がクロコ視点での「事件解決編」となっている。視点を変えながらも過不足なく事件の経緯が語られ、解決まで導かれる。二人の視点の違いも面白い。
また、物語の構成が実にうまい。
各エピソードにさまざまな妖怪が登場し、ポイントとなるアイテムが描かれ、しっかりとオチまでついている。しかも、その妖怪やアイテムが次の事件の解決に繋がってゆく。
見事な構成力に唸らされるばかりだ。
そして、最後の最後に、驚くべき展開がある。
まさかここで「あれ」が役に立つとは!
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他にも楽しめるポイントがたくさんある。
たびたびお菓子が登場するのだが、そのネーミングが面白くて、くすっと笑える。
また、「牡蠣を食べて当てよう!」というブラックジョークもニヤリとせずにはいられない。(※キャンペーンに当たる、食中毒になるというダブルミーニングになっている。)
そして、作者の知識の広さにも驚かされる。
「自在置物」や「ウグイスのフン」など、知らないことがいっぱい詰まっている。
妖怪という使い古された題材を扱いながらも、新しい世界を見せてくれる作品だと感じた。
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妖怪が好きな人はもちろん、心温まる物語が好きな人におすすめの作品。
できれば一日一話ずつ、ゆっくり読んでほしい。
印象に残っているのは、作中に出てきた「桜は一年に一度しか咲けない」という旨の言葉である。
その開花の一回一回がとても貴重なものに思える。そして、開花のタイミングに出会えることは奇跡のようなものなのかもしれない。
人と人との出会い、人と妖怪との出会い、作品との出会いも、奇跡のようなものだ。
ぜひ、作品をじっくり味わってほしい。
そして、山吹やクロコ、にぎやかな妖怪たちと一緒に、この素晴らしい結末を迎えてほしい。
妖怪たちと心通わすことができる、不思議な医師・山吹先生。
彼が経営する『七ツ闇クリニック』には、毎日妖怪たちと子供たちが賑やかに集います。
先生は、その相手をしたり問題を解決したりと大忙し。
それなのに常時抱える困窮問題。
何故なら、このクリニックには(人間の)患者が全然来ない!!
毎度毎度繰り返される、先生を慕うしっかり者女子・クロコとの「今月の支払いどうするんですか!」トーク。
お人好しかつのんびりすぎる先生と、常に金銭問題に頭を抱え続けるクロコとの「お約束」なやり取りは、何度読んでも安定の面白さ&安心感です。
おやつを要求する子供たちの訪問も、お金がない妖怪たちを診察する羽目になるのも、日常茶飯事。
でも、先生の持ち前の優しい人柄が、そこに惹かれるクロコの尽力が、いつの間にか幸運を引き寄せ、毎度なんとかなってしまう。
いいなあ、安心するなあ。
決して怖くはない妖怪たちと、人間たちの、温かな思いが全編通してあふれてきます。
ほっこりしながら楽しめる、人情妖怪奇譚。
思わずツッコミたくなる面白エピソードが満載です!!
全体的にほのぼのしていて、読んでいて楽しい連続短編でした。
主役の山吹先生とヒロインで実は妖怪のクロコちゃんをはじめ、出てくるキャラすべてに愛嬌があってとても魅力的なやつらでした。
物語の流れにきっちりお約束が作りこまれているのが、何気にすごいと私は思いました。
さらに、短編でありながら、問題の解決に必要なキーアイテムやヒントは、その前に語られたエピソードの中にあるという、巧みな構成になっており、作者様の物語を練りこむ技術の高さを感じました。
ほのぼのしたり、笑えたり、ときにホロリ。
物語を楽しむ上での様々な要素が詰め込まれた、素敵な作品でした。
癒されました。一つ一つの物語が作り込まれているし、情景を表現する技術が洗練されていて読み手の心情を操っています。ヒロインであるクロコが泣けば読み手も涙し、笑えば頬を緩ませてくれます。
主人公の山吹先生はとても優しい人です。それと同時に人間っぽい感情もしっかり持ち合わせています。←(悪い意味でも)
それでも主人公の真摯で直向な態度が好感を誘いました。クロコじゃなくても惹かれてしまいますね。
各話に必ず新しい妖怪達が登場し物語の軸になり、話数が進むにつれて過去の登場人物達が活躍する構成は最高の読みごたえです。ここで書くのもあれなんで、是非一度拝読されては如何でしょうか。最初から最後まで練りこまれた物語に感動するでしょう。
日本映画の巨匠、黒澤明監督が弟子達に言っていた事を思い出しました。
「作品を見終わった時に、清々しい気持ちになるモノを作りなさい」
まさにモノノ怪クリニックはそんな気持ちにさせてくれる作品です。
作者様の優しさが滲みでていると思いました。
次回作を作る予定があるとかないとか噂されていますが、クロコと先生の関係にメスを入れるのかどうか。もうすでに私は想像を膨らませています。
最後になりましたが、こんなにも素晴らしい作品を読ませて頂きましてありがとうございます。
いっぱいの感謝の気持ちを込めて。
いっつも収入難に追われ、それでも「健康なのは良いことです」と言い張るちょっとお金に黒い先生と。
それを支える集金係(?)クロコとのやり取りが楽しい、妖怪たちとの日常を描いた作品です。
子供たちがやってきて。
噂話を持ち込んで。
今日も患者が居なかったと思いきや、妖怪のお客さんがやってくる。
そしてクロコの視点へ。
と基本的には毎回決まった展開なのに、まったく飽きさせずお話が転がっていきます。
そのうえ「物語」として綺麗にまとまっていて、以前の出来事や報酬として貰ったものが次へと関わってくる。
まるでパズルのようにしっかりとハマっていく様は読んでいて気持ちが良い。
どのお話も温かで楽しくて。
まるでドロップ甘露のように、毎回違った味わいを楽しませてくれる。
そんな”お楽しみ”がたっぷりと詰まった作品を、どうか味わってみてください。
おすすめです!!
モノノ怪。七ツ闇クリニック。
並ぶ響きは、血脇肉踊る妖怪奇談の展開を思わせますが、ほのぼのクリニック話です。
いつも懐が涼しい山吹先生が居る、学校帰りの子供達のたまり場。
不思議な少女クロコ。
話を飾る妖怪達は一つ二つと困り事を抱え、山吹先生やクロによって、まるでリレーと小咄のオチのように解決して行きます。
その繋がりは、人と妖怪達を渡す山吹先生の優しさを体現するかのようです。
また、話のたびに変わるクロコの装いにも注目です。
季節を感じ、妖怪達の息遣いを感じる物語は、心温まる感動のラストへ向かい、読む側を包んでくれます。
素敵な物語を、ありがとうございました。
小判猫と出会えて、とても幸せでした。
温かい日差しに照らされた神社で、ふと吹いた風の音が人の声に聞こえたことはありませんか?
暗い病院や学校の廊下に、無機質な科学では語れない、何か不思議なものが存在するような気がしたことはありませんか?
この物語は、関東地方のとある県、とある町の唯一の診療所を経営する「山吹先生」と、その傍で彼を支える「クロコ」という少女、そして診療所に訪れる様々な物の怪の物語です。
筆者が特筆したいのは、この物語があくまで表層的、悪く言えば振り回されるように物語を進める山吹先生のパートの後には必ず、クロコのいわばお片付けのパートがある点です。
クロコは山吹先生の生活を守る為にも、時にはビシっと物の怪達に治療の請求に迫ります。しかしその場面すら健気にも、コミカルにも感じ、決して不快には感じません。
それはきっと、仕方ないなぁ、という感じに多くのことを許してしまえる優しさが、クロコから垣間見えるからだと筆者は思います。
昼の山吹色も、夜の黒色も、この物語ではいつだって温かいです。
着飾ることのない、ささやかな優しさに触れたい方は、ぜひご一読されてみては如何でしょうか。
1話1話がほのぼのとした雰囲気を醸し出していて、どこまでも優しさに満ちた小説です。
読んでいると、こっちまで穏やかな気持ちになれます。
言葉だけで、ここまでほのぼのとした雰囲気を感じさせる作者様は、ホントに凄いです。
そして登場するキャラクターたち。
山吹先生とクロコちゃん、そして登場するモノノ怪たちの魅力については、もうすでに多くの方が語られていますので、僕は子供たちについて少しだけ。
この小説では、毎回近所の子供たちがクリニックに遊びに来ます。
四人の個性的な子供たちなんですが、この子たちが結構お話のきっかけとなっていて、さらに山吹先生やクロコちゃんの、内にある性格や心情を照らし出しています。
彼らの関係性も、少しずつ明かされていくので、そこも気になるところです。
個人的にですが、一体マサヒコくんは、ランドセルになんの恨みがあるんだろう、とかも考えてしまいます。
アキナちゃんとトシオくん、チエミちゃんも、可愛くて魅力的な子たちです。
彼らがいてこそのクリニックだと思います。
最後にお話の方ですが、医者である山吹先生と、その助手であるクロコちゃんが、モノノ怪たちと出会い、その縁を紡いでいく物語となっています。
ただ困っているモノノ怪たちを助けて……という小説ではありません。
読んでみれば、その意味がわかると思います。
なのでまだ読まれていない方は、ぜひ読んでみてください。
ホントに面白いですし、各話すぐに読み終えてしまう筈です。
優しくて欲のない貧乏な医者の先生(人間もモノノ怪も両方治療できます)と、助手的な存在のモノノ怪の女の子の両方の視点から綴られる、妖怪的なトラブルと解決のお話です。一話一話綺麗に物語がまとまっていて、とても読みやすいです。先生の人柄が素晴らしく(優しくていい人だけどちょっと抜けている性格)、助手のクロコは可愛いながらもしっかりしていて(お金のこともしっかり考えて生活力の低い先生をサポート)、とてもいいコンビです。登場する妖怪たちも個性的で面白く、子どもたちのキャラも立っていて、先生との交流にくすりとします。一話一話読むごとに優しい気持ちになれます。ぜひ多くの人に読んでほしい心温まる作品です。