高校卒業を控えつつもお互いに進学先や夢が異なるため、遠距離恋愛を迎えようとするある高校生カップルのお話です。
主人公の志峰と宜脩の二人が宮崎弁を使用することがポイントで、同じ日本語なのにこうもお互いに可愛らしく見えてしまう……そんな不思議な気持ちになります。方言が持つ不思議な魅力に、私も思わず引き込まれてしまいました。
また宮崎県の歴史や神話などのお話もしっかりと作中で説明されており、作品の世界観を神秘的なものにしている点も魅力です。高校生らしい恋愛における心理描写も、まさに青春を思わせるような素敵な描写です。
短編小説でありながら読む人の心を温かくするこの作品、一人でも多くの読者さまに読んで欲しいと思います!
2,000文字という制限では、どうしても読者の共感を呼ぶ設定が必要だと思いますが、作者はそれが上手いです。
宮崎の畜産農家の息子が北海道の畜産大学に行くという設定は、いかにも有りそうで、腑に落ちます。しかも、無理なタイムスケジュールにならないように、その後のイベントの段取りも抜かり無く。憎いですねえ。
ところで、東国原元知事はしきりと宮崎県の特産品をアピールしていましたが、高千穂周辺の観光ルートもアピールしていたんでしょうか。観光というと、シーガイアを連想していましたが、宮崎県には未だ未だ魅力がたくさん埋まっているのでしょう。
星の数は、短編にはMAX2つが信条だからです。もっと早く書くつもりでしたが、スリーアローズさんのレビュー時刻から間が空くのを待っていました。
閲覧者の方へ)この作者の作品で、同じく宮崎を扱った短編に「ブーゲンビリア」が有ります。読み比べてみると面白いですよ。
高校卒業後の進路。互いに夢を持っているが、それを追いかけるためには遠く離れなければならない。これはとても辛いことです。
そんな状況下のカップルを描いた物語。
舞台は宮崎県です。
後半からラストシーンにかけて、カップルを通して舞台の地が描かれておりますが、このお話を読めば必ず訪れてみたくなるでしょう。
おひとりでも、もちろんOKです。恋人同士なら、さらにお奨めです。
これから二人は楽しいことだけではなく、悲しく辛いことにも遭遇するでしょう。そんな時は思い出すはずです。この街で、土地で、一緒に見たあの風景を。故郷はいつまでも、心強い味方ですから。