居心地のよい、寂寞

田んぼばかりの津軽の夏が、
端正な文章によって、色鮮やかに綴られる。

蒲の穂、割れたコンクリートの道、お墓参り、橙色の火。
祖父の猛烈な津軽弁が、不思議に魅力的だったこと。
父の言うとおり、「なにもない」こと。

少し寂しく、とても居心地のよい作風に、
行ったことのない津軽へと旅してみたくなった。
切なさのにじむ郷愁の物語、すごく好き。

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