ガッチガチの純文学志向の人も読めば絶対にハマる素晴らしい作品

まず拍手を送りたいです、素晴らしい作品です。
次に感謝を伝えたいです、読んで良かった、出会えて良かったと思いました。
私は、もう20年以上前になりますが、某文学系大学の文芸部に在籍していました。伝統的に、所謂「純文学」しか認めないという部であった為、私もそんな作品ばかり、読んだり書いたりしていました。最近は頭もだんだんくたびれて来てオッサン化が進み、戦国時代物の時代小説ばかり読んで、オッサン的なウンチクを深めていました。2週間程前「カクヨム」を知ってログインし、「今の文芸の世界はこんなことになっているのか?!」といろんな意味で衝撃を受け、そしてこの作品に出会いました。
評価が高かったので、ヒマつぶしに何となく読み始めました。
最初、「サブカル学園モノかあ」、みたいな軽めの感想を抱き、
次に、「あれ?ひょっとしてちょっとヤバイやつ?」、と警戒し、
そのうち、上から目線の感想なんか抱けないくらい物語に引き込まれ、
最後の方は、ちょっと半泣きになりました。
世の中の荒波に少なからず揉まれて来た海千山千の五十前のオッサンを半泣きにさせる力が!この作品にはあります。
あの、秘密を声高に言いふらされる場面では、今まで他の小説では味わったことが無いほどの残酷さと痛みを感じました。
教室での、あの場面では、単なる読者に過ぎない私も一緒に、飛び降りて楽になりたい、という気持ちを味わいました。
この物語における「知性」の代弁者、ミスター・ファーレンハイトの自宅を訪れる場面では、驚愕するのと同時に、同氏の思念・情念の厚みに押し潰される感覚を覚えました。しかし驚愕の真実!本当に驚きました、ええーっ!と思わず声が出て、頭を抱えてしまいました。
近年私が読んだすべての小説の中で、間違いなく五指には入る傑作です。
他の作品もこれから読ませて頂きます。
これからも書き続けて、楽しませて下さい。
ありがとうございます。

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