第6話 六日目
やあ!よく来てくれたね!
え?なんだか嬉しそうだって?
そりゃそうさ、今度、妹が子供を産むんだよ!
私もとうとう、叔母さんになってしまうんだと思うと感慨深くてね。
今日は昨日話していた、同人ゲームの話ではなく、妹の話をしようと思うんだけれど、聞いてくれるかい?
よかった。
それじゃあ、いつものようにコーヒーでも飲みに行こうか。
今日はとても気分がいいからね、酒でも飲みたい気分だ!
だから、やっぱり今日は、お酒の飲めるところに行かないかい?
え?飲めないって?
大丈夫、居酒屋じゃなくて、ラーメン屋の安い中ハイでいいんだ。
まあ、とにかく、ラーメン屋に行こうか。
さあ、座って座って、ほらほら。
おばちゃん、中ハイとコーラでお願いします!
コーラじゃ嫌だって?まあまあ、コーラ以外にはドリンクがないんだ。
とにかく、話をはじめようじゃないか。
私にとって彼女がどんな存在なのか楽しみだろう?
幼い頃の私にとっての妹はそれはそれはムカつく存在だった。
なにせ、両親は妹を心底可愛がっていたからね。
私は長女なのだから我慢しなければならないのだけれど、それができない性分だった。だから、事あるごとに怒られたよ。
まあ、そんな幼少期はどうでもいいとしよう。
20歳頃になって、彼女は水商売を始めた。時給もバックもいいからね。
そんでもって、彼氏Aと付き合い始めた。彼氏Aはそれはそれは好青年で、まあ、見た目がヴィジュアル系バンドのようだったけれど、良い人だったよ。
ひねくれて、ブサイクな私にも好意的に接してくれて、両親にも手みあげをもって、挨拶にくるような青年だった。
歳は妹と同じか、少し下くらいだった気がする。
妹はそんな彼氏Aに処女を捧げた。
ヤった数日後に自慢げに、妹はこう言った。
「お姉ちゃん、もうヤった?私、もう卒業したんだけどwww」
まあ、こんな感じの事を言われた。
私は祖母から教育されていて、みだらに異性とそういった行為をしてはいけませんと言われていたので、呆れ返った。
ヤった報告とかいらないし。
まあ、そんなこんなで、妹は彼氏Aとやりまくっていたので、とうとう懐妊した。
彼氏Aは妹と結婚をしたいと両親に頼みにやってきた。両親は彼氏Aの良さを知っていたので、快く許した。
ところが、ここで問題が発生した。
おや?気がついたかい?そう、向こうの彼氏Aの両親は水商売の女なんかとは結婚させられない。子供を下ろせといってきた。
最初は頑なに拒んでいた彼氏Aも説き伏せられ、とうとう結婚はできないと言い出した。そして、子供はおろしてほしいと言いだしたのだ。
状況は一変して地獄と化した。
両親は彼氏Aを罵倒し、散々怒り狂った。そりゃそうだ。あんなに喜んでいたんだからね。
まあ、それでも彼氏Aの気持ちは変わらず、こうして、妹は堕胎した。
祖母は泣いた。母も泣いた。父は怒り狂った。祖父は嘆いた。
妹の落胆ぶりは半端ではなかった。気が狂ったように何度も自殺をしていた。
そりゃそうだろうさ。
とにかく、こうして、彼女の一回目の交際は終了した。
そうして、彼女はまた懲りずに水商売をして、彼氏Bと付き合い出した。この彼もなかなかに好青年で、何度か家に来ては両親に挨拶していった。
しかし、彼女は浮気をしていたのだ。
そう、彼氏Cと。まったくもって、気の多い女だと思わないかい?
私は生まれてこの方、一人の男性としか付き合ったことはない。今の彼氏だ。
とにかく、話を戻そう。彼女は浮気した彼氏Cをよく思ったのか、突然、彼氏Bをふって、彼氏Cと結婚した。
しかしこの彼氏C、とんでもないDV男だったのだ。
結婚して、半年もたたないうちに妹は前歯を折り、ズタボロにされて帰ってきた。
もちろん、彼氏Cにはとんでもない慰謝料を払わせて。
こうして、彼氏Cとの結婚は破綻し、離婚した。
彼女の一回目の結婚はこうして終わりをつげた。
それでも、この女はめげない。今度は彼氏Bとよりを戻したのだ。
そして、二度目の結婚を彼氏Bとする。この時、さすがに年をとってきたので、水商売を引退し、スーパーで働き始める。
彼氏Bとはうまくいったようで、彼氏Bとの間にめでたく子供が生まれる運びとなった。生まれるのは来年1月くらいらしい。安定期に入っているらしいが、まだスーパーで働いているらしく、はやく辞めろとは言っている。なにせ、また流れた・・・なんて事にでもなったら、どんな地獄が待っているのか考えたくもない。
私が彼女の男性関係について知っているのはこのくらいだ。もしかしたら、もっとあまたの男性と行為に及んでいたのかもしれないけれど・・・。
まあ、とんでもなく波乱に満ちた人生を彼女も送っていたわけだ。
私の妹の話はどうだっただろうか?なかなかにハードな内容だろう?
それでもめげずに、幸せを探し続ける彼女。そして、そんな彼女を追い続けたB氏に私は初めて素晴らしいと言いたい気持ちになったよ。
なにせ、妹とは仲が悪かったからね。
ん?今はどうかって?今もそんなに変わりゃしなけど、嫌いにはなれないよ。
家族だからね。
私も早く自分の家族がほしいとは思っているんだけれど、とてもそんな余裕はなくてね。それに、もし私ソックリな子供が生まれたらと思うとゾッとするよ。
なにせ、私はおしゃべりだからね。きっと、私そっくりな子供は同じようにおしゃべりになって、どんな事を言いふらすか怖くてたまらないよ。
君はどうなんだい?
え?秘密にしたい?そりゃないじゃないか。せめて、付き合っている異性がいるのかくらい教えてくれたっていいだろう?
コーラも飲み終わったし、今日は帰ろうだって?おいおい、教えてくれよ。
しかたないな。それは、また今度、追求することにしよう。
それじゃあ、また明日、この時間に、あの場所で。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます