第4話 四日目
やあ、よく来たね。
さすがにもう、来ないのかと思っていたところだよ。
え?電車が遅延していたって?
ああ、確かにさっき遅延したとか言う話を聞いたなぁ。
まあいいや。よく来てくれたね、今日もさっそく、コーヒーでも飲みながら、私の話を聞いてほしい。
ん?そういえば、なんでコーヒーばかり飲むのかって?
特に理由はないよ。あえて言うなら、君と話をする時は、決まってコーヒーが飲みたくなるだけさ。
さて、今日はスタバでも行こうか。あそこのめちゃくちゃ長い呪文のようなコーヒーは悪くない。特にクリームがたくさん乗ってるやつが私は大好きだ。それに、コーヒー以外もあるからね。
さすがに君だって毎日コーヒーを飲み続けるのは苦痛だろう?
紅茶でも抹茶ラテでも好きなものにすればいいよ。
私?私はもちろん、コーヒーをいただくよ。
おいおい、混んでいるからって私を見失わないでくれよ。
こっちこっち!丁度、二つ席が空いていて良かった。
さあ、その手に持ってる飲み物を置いて、席に座りなよ。
早くしないと他の客にどいてくれと言われてしまうよ。
えーと、今日はミスターOの話をするんだったね。
彼は某有名シナリオ会社なのかな?に属していて、専門学校に正式に雇われているといった謎な肩書きを持っていた。
私は入ってすぐに、ミスターOと仲良くなり、シナリオの添削やアドバイスをもらうような関係になった。ちなみに私は他の先生にも学科など関係なく分からない事を聞いて回るような性分だったから、別段ミスターOに弟子入りしたつもりはない。
ミスターOは有名なシナリオライターの弟子だ。多分、君が知っているアニメのシナリオをミスターOの先生が書いているかもしれないくらい有名だ。国民的なアニメのシナリオもそのミスターOの先生の弟子が書いているくらいだから、案外エンディングロールでミスターOか彼の会社の名前を目にしているかもしれない。
まあ、そんなミスターOは大の女性好き。まあ、男性なら皆、女性が好きだとは思うが、ミスターOは胸が豊満なタイプが好みだった。しかも、それを隠そうともしない欲望に忠実なタイプだった。
私はどうやら彼のタイプにどストレートだったらしく、かなり積極的にアピールされた。
ちなみに、ミスターOはかなりデブだ。しかも色黒でかなり気持ち悪い部類に入る。触られると、じめっとした感触でぶっちゃけ触られるのすら気色悪いが、私は当時男装カフェに居たこともあり、別段、気にしなかった。女の子にもおんなじようにじめっとした手で太った子はたくさんいたからね。
だが、私の同人ゲームの相方の女の子は彼と一緒の部屋に入ることさえ嫌がるくらいだった。ちなみに、彼女は強靭な精神力でもってミスターOを退け続けた。彼女もまた、ミスターOのどストレートな美人だったからだ。
ある時、同人ゲーム製作中のプログラマーと打ち合わせ中にミスターOから電話がかかってきた。
「今から食事に行かないか?」
現在時刻、22時ちょいである。明らかに食事されてしまうのは私の方だろう。
「今、男友達と一緒なんすけど、一緒に行っていいすか」
「じゃあいいや」
電話を切られた。ミスターOは決断力が早いし、ケチである。
女の子には奢るが、男には一切奢らない。
そんなこんなで、ミスターOはあらゆる女の子に迫っていた。ミスターOのストライクゾーンはかなり広めだが、一番が《若い子》を優先した。
そして、とうとうミスターOはやりすぎてしまうのだ。下ネタと食事で満足していればいいものを、欲をかいてミスターOは声優科の女の子にセクハラをしてしまったのだ。
もし、私なら、まあいい。許そう。いつもシナリオの添削やら仕事を回してもらっている手前、乳揉むくらなら許そう。
しかし、なんの関係もない声優科の女の子に「今度、僕が携わるアニメに起用してあげようと思うんだけど・・・」などと思わせぶりな発言をして、女子生徒にセクハラしたのである。
ここで、とうとう黙っていた生徒と教師が結託して、彼を罠にハメる作戦が実行される事となった。
まず、教師YからミスターOをはめるシナリオを聞かされた。
まず、ミスターOが女子生徒にセクハラしまくっている事にする。そこで、私と、その相方の名前が実名で挙げられる。ついでに私はミスターOから送られたセクハラメールを教師Yに渡し、証拠とした。
そして、私と相方は数日は学校を休んで身を隠す事を提案された。丁度、ゲームを作っていた時期でもあり、出席扱いにしてくれるとの事で、快く私は承諾した。
そして、被害者、証拠、もろもろが揃ったところで、この作戦は遂行された。
まず、ミスターOのセクハラ問題を教師Yが学校側に通達。学校側には教師Yの用意した被害者一覧、証拠メールなどが提出された。学校側はこれにより、ミスターOをクロと判定した。
その間のミスターOのあがきぶりといったらすごかった。必死で私に連絡をとれそうな人に、私に「無実だと証言してくれ」と言い回っていたらしい。
まあ、結局最後まで私は連絡しませんでした。なので、ミスターOは学校から解雇処分をくだされました。
ちなみに教師Yから教えてもらいましたが、ミスターOの最後の叫びは
「俺は無実だ!罠にはめられたんだああああああああ」
だったそうです。なーむー。
まあ、これで分かったと思うけれど、女の子に酷いことをする奴は社会的に抹殺されるってこと。女っていうのは男よりかなりシタタカなイキモノなのだよ。
怖いねぇ。全く。
君も気をつけた方がいいよ。異性に恨みを買うと怖いからね。
いやいや、女性限定ではないよ。男性にも恨みを買うと、どんな復讐をされるか分かったものじゃないってことだよ。
まあ、私は女性が男に復讐する様子をよく見るから、思うんだけれど、女って怖いね。特に復讐の仕方が本当に陰湿。男って暴力だけど、女の人って社会的に抹殺しにくるから。
さて、このクリームコーヒーのクリームを食べ終わったら出ようか。
なに?明日も来るっていうのかい?
全く君は本当に暇な人なんだね。
まあいいさ、私も話し相手がいてとても嬉しいからね。
なにせ、こんな私は話をするのが大好きだからね、聞いてもらえると嬉しいよ。
そうだね、明日は私の趣味について話をしようか。
私の趣味になんて興味は沸かないかもしれないけれど、とにかく聞いてくれると嬉しい。なにせ、私は多趣味だからね。とにかく、たくさんの趣味を持っているから興味がわくかもしれないよ。
ぜひ、明日も来てくれると嬉しい。
それじゃあ、明日もこの時間にあの場所で。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます