第3話 三日目

あらまあ、本当に来たのかい?

いやいや、君の言葉を疑っていたわけじゃないんだけどね。

こんなに、つまらない話を何度も聞きにくるなんて、君も大層な暇人なんだなと思ってね。

私?私はさっきまで、ちょっとした仕事をしていたよ。

無職だとでも思ったのかい?失礼だな。

一応、アルバイトくらいはしているよ。

さて、今日もどこかでコーヒーでも飲もうか。

そうだな、今日はドーナツが食べたい気分だし、ミスドに行こうか。

え?ミスドのコーヒーもそんなに美味しくはないって?

まあ、美味しいってほどじゃないけど、おかわりできるし、マックのコーヒーよりかは断然、美味しいと思うよ。


さて、今日は同級生の話をするんだったね。

まあ、とにかく、そのトレイを置いて、隣に座ったらどうだい。

時間はたっぷりあるんだから。


私の同級生は小学校から専門学校時代まで凄いやつばかりだったよ。

悪い意味でね。これは本当に、そうなんだよ。

まず、小学校時代からいこうか。私はまあ、こんな性格だろう?特に目立ちに目立った。ところが、友達というものをほとんど作れなかった。まあ、悪童だったってのもあるんだけど。

唯一、親友と呼べる友達がいて、彼女とはそれはそれは仲良くしていたんだ。と言うか、私が彼女にべったり状態だった。ところが、私の友達の中には私と彼女がべったりなのが許せない者がいた。どうやら、彼女、ソッチのケでもあるのか、私に振り向いてほしくて、私の親友を見えないところで散々虐めていたらしい。

ああ、これは後から聞いた話だから、当時の私は全く知らなかったんだけどね。

その話を聞かされて、私は心底驚いたよ。まさか、そんな事になっていたなんて。

そして、次は中学校だ。

中学に上がると、今度は悪目立ちする私がイジメの標的にされた。それはもう散々ひどい目に合わされたよ。プールの時間が終わって更衣室出ようとしたら外から開けられないようにされたり、まあ色々と女子限定の陰湿な嫌がらせさ。

キレた私はイジメの張本人を張り倒した。そんでもって、取っ組み合いの殴り合い。昔から私はキレると、は止めがきかないたちでね。ほら、いつも温厚で、私が怒っているのを見たことがないだろう?怒ると、は止めがきかなくなるから、怒らないようにしているのさ。

そんで、まあ、問題を起こした私は転校する羽目になった。

それも最悪な学校にだ。それは、ヤンキー校として名高い中学に転校したのだ。

すごかったよ。何がすごいって、中学なのにタバコを帰りにふかしてるんだから。

まあビックリしたね。昔は今と違って手軽に・・・、それこそ中学生だって買えた。だけど、自分で吸ってるやつなんてジャンキーだとおもったよ。

まあ、その中学でも私は悪目立ちした。なにせ、中学で既にブラのサイズがCを超え、首が苦しいからと胸元のボタンを三つもあけて、シャツはスカートから出しっぱなし。男子はまあ、思春期ですからね。私の胸やらでかくなってきたヒップに夢中でしたよ。こういってはなんだが、小学校から中学まではかなりの美少女だった。スカートめくりにはじまり、告白されたり・・・。まあ、私はどうでも良かったのだけど、これが女子の反感を買った。

ある日の音楽の時間だった。

みんな輪になって、歌いましょうとか寝ぼけた事を音楽教師が言い出した。

私は輪からちょっとはみ出すくらいのところの位置についた。隣の人の声につられる癖があったし、自分の声の音量で歌うと隣の人の迷惑になるからだ。

ところが、クラスでも優秀と言われる女の子がこう言ってきた。

「輪にはいって」

「いや、私、そこだと歌いづらいから・・・、ごめんね」

多分、そんな感じの会話をしたと思うのだが、唐突に彼女は泣き出した。

どどどど、どうした!?慌てた教師と私に彼女はこう言った。

「先生、○○さんが・・・うわーん」

私は呆然である。何が気いらなかった?

しかし、教師は私を悪と決めつけ、担任に言いつけたのだ。

飛んできた担任は私の言い分など聞かず、顔面パンチ。その後、引きずられて、別教室でボコボコにされた。

だが、私は引きずられる直前に見てしまった。

あの彼女がにやっといやらしい笑みを浮かべたのを。

凄い演技力だよ。女優にでもなった方がいいと思ったね。

その後である、今度は上級生に呼び出しをくらった。

漫画でしか見たことないような、体育館裏に来いってやつだ。

本当にやるやついるのか!?って思ったでしょ?いるんだなーこれが。

すっごい剣幕でなにかまくし立てられた。

どうやら、上級生で美人な女の子と親しくしているのが気に入らなかったらしい。

掃き溜めにも鶴というのはいるもので、上品かつ綺麗なお嬢様的な上級生がいた。

彼女は何を思ったのか、図書室で読書する私を見つけ、面白がって声をかけてきた。まあ、私だもんでお嬢様には知らないいっぱいの秘密やらおもしろい話をきかせてみせた。彼女はいたく私を気に入ったらしく、休み時間などにもよく話をしていた。私は上級生でも下級生でも分け隔てなく話した。

《敬語はなし、タメ口で話そうぜ》

これが私のスローガンだった。そのため、他の上級生に目を付けられたようだった。そんでもって、呼び出しに応じちゃうのが私なのだからどうしょうもない。

だって、こんな漫画みたいな事、本当にするやついるのか気になるじゃん?

まあ、行ってみた結果、複数人のヤンキーに囲まれてぼこぼこにされましたよ。

でもね、私はタダじゃ起き上がらない。

正直に君にだけは告白しよう。

私は襲撃者全員の顔を覚えて、名前と住所を割り出して、全員闇討ちしました。

腹立つじゃん?ムカつくじゃん?やること一つしかないじゃん。

まあ、そんなこんなで中学を卒業して一度、就職したりした。

そんでもって大検とってから、専門学校に入った。

専門学校ではゲームとノベルの学科の授業を取ったんだけど。

これまた、私は悪目立ちした。もうね、私って悪目立ちしかしないんじゃないかって、諦めてる。でも、ここじゃ悪目立ちしても苛められることはなくって、むしろ、個性として評価された。特に教師陣にはうけが良かった。私は率先して同人ゲームを作ったり、課題をこなしながらも小説を書いたり、企画書を書いたりと寝る間も惜しんで、努力した。授業が終わっても教えを乞い、どこがいけないのかを徹底的に追求した。その結果・・・。

「とにかく、昼飯いきたいから、続きが聞きたいなら来い。おごってやる」

だったわけで。私は昼飯を食いながら、教師に話を聞きグングンと成長した。多分、この時が一番勉強した時期だと思う。私はスポンジみたいに教師の言葉やアドバイスを受け入れて、膨らんだ。溢れるアイデアを紙に書き留め、狂ったように企画書や小説をかきまくった。

そんなもんだから、学校側はこれ幸いと私を利用し始めた。

こんなに凄い企画がかけるようになるんですよ。とか、生徒の作品ですとか言って、私の同人ゲームやら企画書やらを並べて、あまたの生徒を騙したわけだ。騙したとは語弊があるが、授業をそこそこ受ければこんなんできますみたいな嘘八百を並べ立てたてたのだ。

当然、このままでは私は黙っていないであろうと思ったのか、教師から昼ごはんを毎日のように奢られ、PSPも買ってもらった(笑)当時、新色のピンクと彼氏はブラックと二つ買ってもらったのを覚えている。まあ、こういった餌に釣られて、私は学校側に企画書を提出し続けた。

そんでもって、私の同人ゲームはとうとう全国のアニ○イトさんで販売された。努力が実を結んだのだ。だから、教師は私たちを贔屓していたわけだ。

そんなある日、私のいない日に事件は起こった。

突然、クラスで一番の年上の女の子が泣きながら、教師にこういった。

「先生は○○さんばっかり贔屓して、ずるい!他の先生もみんな○○さんばっかり評価して!先生は私をお昼ご飯に誘ってくれたこともないですよね!?なんでですか!」

そりゃ、私が努力して、結果だしてるからですよ。って言いたかったね。

なんにもしないで、のほほんと授業受けてるだけの人より、寝る間も惜しんで努力してる人間が評価されるのは当然だと思わない?

ちなみに、その頃、私は徹夜で仕上げたシナリオに突っ伏して自宅で気絶していたんだけどね。

後日、その顛末を聞かされた私は呆れ返った。

何もしなくても、評価されるとか、お前は神か!?意味がわからん!

まあ、とにかく私はクラスの女子から仲間はずれにされるようになった。

別にかまわないんだが。

そんなクラスの女子たちが文化祭でドラマCDを作ると言い出した。

無論、私には参加権はなく、勝手に行われ、勝手に作られた。

のだが、これが笑える事に一枚も売れなかったのだ。

ここからは本当に私は悪い人になるが、思わずにはいられなかった。

リサーチもなんもしてない、その場のノリだけで作ったようなドラマCDが売れるとでも思ったの?馬鹿じゃね。ブークスクス。何の宣伝もしてないドラマCDなんて誰が買うわけ!?しかも、設定資料集とかまで作っちゃって笑える。

私は設定資料集をつくれるほど設定を細かく作るが、絶対に売りはしない。恥ずかしいからね。努力って見えないところでする方がかっこいいでしょ?

まあ、とにかく、売れないCDの山に頭を抱えた奴らは何を思ったのか、気の弱い子達にCDを持たせて、売ってこいと言い出した。マッチ売りの少女ならぬ、CD売りの少女の出来上がりである。あまりに不憫に思った私は彼女たちを助けることにした。あくまで、気の弱い子たちだけね。だって、その子たち「売ってこなかったら、どうなるかわかるよね?」って脅されて、かわいそうじゃない?

とにかく、自分のツテを使うことにした。幸いなことに声優科の教師にも私の覚えは良く、「先生の生徒のドラマCDっすよ~、一枚お願いしますよ~」って感じで見事に全員のノルマを達成した。まあ、声優科の先生からは今度のゲームはうちの子使ってくれよって言われたけど、そこは軽くスルーした。

とにかく、売れたからか、気の弱い子達とはそれなりに関係を修復した。

まあ、ふんぞり返って誰も来ない出店スペースにいる子達には私が売ったことは黙っててもらった。余計な混乱呼びたくないし。



まあ、私の同級生というか、学生時代にあったおもしろ小話はこんな感じだよ。

どうだい。なかなか、こんなおもしろい話は聞かないだろう?

漫画みたいなことってのは、実は本当にあるから、君も気をつけたほうがいい。

恨みを買っていたり、集団リンチに加わったら、月のない夜道には気をつけた方がいいと思うよ。

そうそう、学生時代と言えば、ミスターOを忘れてはいけないと思う。いやあ、あの先生ほど強烈な先生はいなかったよ。そんでもって、なかなかにおもしろい名言を残したからね。

もしよかったら、明日も来ないかい?

ぜひ、ミスターOの話をさせてほしい。なにせ、彼をハメるのに私も協力したんだよ。ハメたって変な意味じゃないよ。罠にハメたってこと。

ふう、コーヒーも三杯も飲むとお腹いっぱいになってしまうね。

もうこんな時間だ、そろそろお暇するよ。

それじゃあ、また明日、この時間にあの場所で。

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