まあ、とにかく私におこる出来事の数々

やなちゃん@がんばるんば!

第1話 一日目

まあ、とにかく私の話を座って聞いてほしい。

座る時間もないって? そう言わずに腰掛けて、マックのまずいコーヒーでも飲みながら話でもしようじゃないか。


とにかく、私は波乱万丈な人生を送ってきた。それこそ、朝の連続ドラマみたいなやつ。まあ、もうその話はどうでもいいんだけど。過ぎた事だし、遺産相続争いも親子で殺し合うような殺伐とした人生なんて、もう忘れた。世の中にはもっとひどい目に合ってる人もいるわけだし。

とにかく、面白い話を聞いてよ。

私、面白い話にはちょっと自信があるんだから。


んーと、まずは鉄板ネタからいこうか。

もうね、これって言ったら私しかいないっていうようなやつ。


私は専門学生になって、卒業間近に慌てて就職活動したんだけど、某大手乙女ゲーム会社の書類審査に通った。書類選考に応募したのは80人。その中から私を含めて5人だけが書類選考をとっぱした。ちなみに、私、大検取っちゃったから、高校卒業してないんだわ。そんな私が通ったもんだから、大騒ぎになった。

いやーでもね、そこはとんでもないところだった。

渋谷にあるっていうオフィスっていうか本社?に行ったら、いきなり、泣いてる女の子が飛び出してきた。明らか~にグラフィッカーっぽい感じ。絵描く人ってさ、上手ければ上手いほど、服のセンスとかある気がした。事実、私の学校にいる女の子はイラスト描く子ほど綺麗だったし。逆に言えば、私みたいな企画屋とかシナリオ系はマジブスばっかりだった。いやいや、私も含めてよ。

とにかく、女の子が泣きながらでてきたビルを見上げて、私は思ったのだ。なんかここすげーやばいんじゃね?

まあ、行かないわけにもいかず、私はガラスでできたドアを開いて、受付の女の人に面接にきました○○です!なんて新卒丸出しな挨拶をした。

そんでもって、これが酷い話なのだ。

私は事前に面接に行ってきた子達に、どんな様子だったか聞いていたんだけど、皆、「やさしいおじさんだったよー」とか言ってたのに、言ってたのに!


出てきたのは、いかつい顔の人事部部長とひょろっとした一番偉いグラフィッカー様だった。


「ふぁ」って言いそうになった。なんで二人いんの?とかどうしてこんなに怖い顔されてんの?とかマジ謎だった。

まあ、とにかく二人は私の前に座って名刺を出してきた。私は教えられたとおりに名刺入れの上に置き、ちゃんと挨拶した。

そんでもって、二人が私の履歴書を取り出して、見始める。


「君、同人ゲーム作ったの?」

「あ、ハイ。大したものじゃないですが・・・」

「この企画書も自分で全部作ったの?10か20あるよね?」

「あ、ハイ。企画しか取り柄ないんで・・・」


今にして思えば、人事部部長にとんでもない失礼をぶちかましていたのである。

その後、唐突に人事部部長は怒った。


「君、この履歴書・・・、ふざけてるの?」

「へ?」

「馬鹿にしているのか!?特技が鼻歌だと!?」


私はいつものように悪ふざけで、特技の欄に《はなうた》と書いていたのである。

もちろん、某大手会社からは不合格の通知がきた。

その後から、我が校では特技に間違ってもはなうたと書かないようにと厳しく言われるようになったのである。

ちなみに、私の後継者らしき人物は《くちぶえ》と書いて、以後くちぶえも禁止になったのだ。


これは本当に私がやらかした話。冗談みたいで面白くない?

あらら。あんまり面白くないって顔してるみたいだね。

それなら、次の話はどうだろうか?

多分、君も気に入ってくれると思うよ。

なにせ、私が男装喫茶で働いていた時の話だから。

男装喫茶ってけっこう特殊でしょ?なかなか、こんな話は聞けないと思うよ。

ん?あれ?もうこんな時間だ。そろそろ行かないと。

ああ、また明日、ここで話そう。まずいコーヒーでも飲みながら。




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