楽園
錆びたベンチ 鉄のにおい
砂の温度 樹木のかたさ
誰かが忘れていった
赤いカップ 黄色いシャベル
音のうるさいブランコ 鳥の声
ぼくは ひとりでも大丈夫だった いつでも
空は青かったし、雲は美しかった 花は風に揺れる
ぼくはただ 美しい世界に
ひとり いられたらよかった
ひとは ひとりでは生きられない けれど
たくさんの 傷も 痛みも
たくさんの いやな笑いも
たくさんの 捻じ曲げられた言葉も
ぼくには 美しくない
みんなに 忘れ去られた 場所でも
ぼくは美しい 空が見たい
誰かが忘れた 赤いカップで砂のケーキを作って
ギイギイとブランコをこぎながら 流れる雲を見る
枝の上でさえずる鳥の名前を 考えながら
ぼくは ひとり 花を摘んでケーキに飾る
孤独という名の 幽霊を ぼくは信じていないんだ
誰かが 自分勝手に作り上げたモンスターも
ほんとうの 楽園には 幽霊もモンスターもいない
たとえば ぼくの 忘れ去られた場所のように
きみがいつか 迷い込んだ あの場所のように
ひとりごと 新樫 樹 @arakashi-itsuki
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