罪と嘘、愛と涙、地獄と花園

極貧時代、彼は愛娘に非業の仕打ちを働いた。
その苦悩を、罪悪を、懊悩を、ありありと作中に描いた。

芥川龍之介の『地獄変』が、この物語の核となっている。
愛娘の命を業火にくべた絵師の、愚かしくも凄絶な創作欲。

天使と堕天使は語り合う。
相容れない慈愛と憎悪を突き付け合って、
一方が愛を説けば、一方は罪を晒し、
文豪と少女の真実と未来に、彼らは答えを出さない。

正しいものは何なのか、その嘘は過ちだったのか。
多くを語らないそのリアリティが、すごく好き。