カクヨム・ファンタジー小説の最高峰

 カクヨムの中に転がっている数多の作品群の中でも、設定と展開が特に素晴らしい作品です。(どの良質な作品にも共通することですが)特に取り扱っている設定の組み合わせ方がいいです。

 登場するテーマは異世界、ドラゴン、ギルド、最強主人公などなど。それぞれはよく目にするテーマですが、作品自体の世界観と組み合わせたときの完成度の高さと来たら、「さすが」と驚嘆するしかありません。料理の素材ではなく調理やレシピづくりに主眼が置かれている感じがあります。

 描き出されるのは、精巧な油絵のような雰囲気の独特な幻想世界。web小説の主流ではなかなか見ない、それこそなろう系からは外れたような純粋ファンタジーが丁寧に描写されています。その作り込みの良さにおいては、他にいくつのカクヨム作者が追随できるのか考え込んでしまうほどです。これほどのものをカクヨムで読ませてくれることに感謝を禁じえません。

 展開に関してですが、テンポ感のいいアクションシーン、次から次に起こる出来事など、陳腐になりがちな要素がとても上手く描かれていて読んでいて飽きが来たり、反射的な忌避感が生まれたりすることが全くありません。

 欠点としては...何でしょう。漢字が多いことでしょうか。文章としての雰囲気作りに一役買っている要素でもありますが、地の文の分厚さと相まってときたま読みづらくなります。ルビの多さも同様かな、と。しかし、それがこの小説の持ち味でもあるので難しいところではあります。

 総合評価として、カクヨムのファンタジー好きは問答無用で読むべき作品だといえます。物語としての実力が非常に高く、読んで後悔はしません。私も今後ともに竜飼師とその槍たちの物語を楽しみしています。

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