互いの道は分かれても、その絆は二人を紡ぐ。

勝率五割一分の平凡なプロの主人公。
その彼が、かつてライバル視していた天才の誠二と対局する。
凡人ながらにプロになったと評する主人公は、情熱を失った天才を前にして、これまでの感情を吐露していきます。しかも、プロを4人倒しての登場です。
勝つのは平凡なプロか、天才アマか。
その対局における心理を、見事なまでに物語ながら勝負は進む。
将棋は詳しくはないけれど、その一戦には引き込まれていきます。

そして、最後に語る清々しさ。
本当に、ライバルというのは、得難い財産なのだと思います。

ただ、それを実現したのは、五割一分という平凡な勝率といえども、一分の勝ちを収めてきた主人公がいたから。
そして、その主人公に、かつての天才は戦いを挑み敗れました。

でも、これは将棋の世界で過ごした凡人が天才を超えたという物語では終わらない。かつて分かれた道が再び出会い、そこからさらにそれぞれに足らなかったものを補い次の対局へと続く物語の序章なのでしょう。

二人が再び対局する事を信じて。