主人公の少女は、マッチングアプリで知り合った同年18歳の「よつは」と出会う。ある植物がきっかけとなり、自然と相性良く惹かれていく物語。男性の家を泊まり歩いている「よつは」。そんな安定感のない生活の中に、興味を惹く花や植物がそこはかとなく登場し、渡り歩いた男性をそれらの植物の造詣と連想させていく。この紐付けがなんとも奥妙かつ独特なタッチで紡がれ、かつ透明感のある文体に思わず魅入ってしまうのだ。インスタグラムなど、現代の若者のツールを介して親近感を覚える内容。入り込みやすい展開の工夫が凝らされており、日常の喧騒を忘れさせてくれる不思議なストーリー。心が落ち着いた時に、フッと息をついて読みたくなる小説です。
マッチングアプリを通しての出会い。
髪を切り、ピアスを空け、限界まで男からの情報を遮断した主人公と、男への情報発信をするもう一人の主人公「よつは」との出会い。
その確率はわからないが、通常出会っても交わる事はないであろうベクトルの違う二人は、ラフレシアを見る事で、ほんの一瞬交差する。
世界的にみて、性に関する社会的課題に対する日本社会の対応は十分ではない。
そんな中で、二人は出会い、そして分かれる。でも、おそらく何かが残った。
その意味とは? そして、最後の語られる「よつは」の行動。
シロツメクサの花言葉、嗅げなかったラフレシアの臭い、そして……。
とても広く、とても深い感じがする物語に感じました。
是非、ご堪能下さい。