さすらう彼女、シロツメクサへの寂寞たる憶い

主人公の少女は、マッチングアプリで知り合った同年18歳の「よつは」と出会う。ある植物がきっかけとなり、自然と相性良く惹かれていく物語。男性の家を泊まり歩いている「よつは」。そんな安定感のない生活の中に、興味を惹く花や植物がそこはかとなく登場し、渡り歩いた男性をそれらの植物の造詣と連想させていく。この紐付けがなんとも奥妙かつ独特なタッチで紡がれ、かつ透明感のある文体に思わず魅入ってしまうのだ。インスタグラムなど、現代の若者のツールを介して親近感を覚える内容。入り込みやすい展開の工夫が凝らされており、日常の喧騒を忘れさせてくれる不思議なストーリー。心が落ち着いた時に、フッと息をついて読みたくなる小説です。

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