傀儡の糸――伏線のごとし


老婆の発する意味深な発言。
オノマトペが演出する不気味さ。
夜帆衣というネーミングセンス。
本作の魅力を挙げ出したら枚挙にいとまがありません。
傀儡の糸がまるで伏線のように妖しく引かれる。
その身に取り憑かれた性悪が蟲のごとく蠢く描写が堪りませんね。
人間の性格や人格、感情などの歪みを蟲の醸すおどろおどろしさに溶け合わせる筆致がなんとも巧みです。
京極夏彦テイストのホラー短編、オススメです。