絶望があるからこそ輝く希望と感動

大きな大きな絶望があるからこそ、孤独や喪失感のやるせなさがあるからこそ、それがくるりとひっくり返る瞬間にカタルシスと感動がある。
それがありありと描かれた作品です。

中盤で起こる絶望的な事件の後に見える希望。
それに向かって突き進む主人公にどんどんと読まされてしまいます。
でもその先に横たわるもう一つの哀しさに、どこか満たされない気持ちになるのですが、それも......というように、辛い出来事の先に誰にとっても満ち足りた読後感が待っています。

陽太と奈々子の「夢」についても、作品のハートに絡めてよく描かれていました。

SF設定も見事で、それが物語へ絡んでいく様子も絶妙です。

誰もが読めてよかったなと思える作品のはずです。

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