タイトル通りとは恐れ入った。

 開幕、情事。あくまで作中作の話ですが。
 刺激的なプロローグが大切という通り、刺激的な冒頭。読者を惹き付けるには十分ですね。
 とりあえず、タイトル通りの作品です。刺激的なプロローグがキーワード。今作はそれが始まるまでの物語でしょうか。
 内容もまた刺激的。普通の恋愛ではこんなこと起こりませんし。それでいて温かみもある、優しさを感じる作品でした。
 ストーリーは軸が二つあります。歴史小説ばかり書いている変な主人公が恋愛小説を書くこと、地味な女性との恋愛。
 この主人公、変なのですよね。序盤の時点でそうだと悟りました。ツッコミどころが満載。見ていて面白い。ギャグかよってくらいに。偏屈だけと嫌味っぽくはない、魅力を感じるキャラクターです。
 ヒロインとの初対面シーンもインパクトがあります。生卵をかぶるシーンです。この作品の雰囲気に合っているというか、むしろ決定づけたまであります。

 セリフ文もいいですよね。生き生きとしているといいますか。会話の流れも自然でした。
 総文字数一〇万字でありながら、それ以上の読み応えを感じます。内容が濃く、詰まっているというべきか。おおまかな章ごとに大きく話が動く。状況も環境も。
 他のキャラの描写もあり、それがきちんと結んであるというのもポイントが高いですね。

その他のおすすめレビュー

白雪花房さんの他のおすすめレビュー59