名は技を縛るが、術を縛らず。

 ワトソンさんの手記を基にした今作品は、果たして邂逅し得たであろう2人の梟雄(と言ってもいいだろうか)を翻案を交えることでそのキャラクター性をこれでもかと増し増しで伝えてくる力強さに満ちている。
 推理、バリツ、あの口調! 求道心、義侠心、八極拳! そしてそれを熱くも冷静に見守るワトソン。
 そんな彼を取り巻く環境もまた燃えるシチュエーション。最新の大量殺傷兵器にまつわる陰謀を知恵と拳で切り開くエンターテイメントは、本当に中短編かと思うほどに濃密。
 主人公ふたりが邂逅しその力を『認め合う』シーンは圧巻。
 そんな気持ちの良い男たちの話を、皆様もどうか楽しんでいただければ幸いです。シャーロックホームズという作品名に縛られず、面白さの術理を会得した作者の渾身の一撃を堪能してください。
 面白かった! 

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