これぞまさしくセカイ系! 良い意味で、90年代後半テイストを醸し出している一作です。
今作において、二人の繊細な関係性は、正体不明の敵〈イミューン〉と〈鳥巨人〉という存在を介して世界の命運に直結しています。
時にすれ違い、時に抱き合い、そういったごく普通にあり得るような心の機微さえ、世界滅亡と切り離せなくなっているのです。
少年は少女に恋をし、少女はそれに応えた。
でも―――― という展開はまさに心に突き刺さってきます。
大人でも無ければ聖人でも無い。だからこそ揺れ動く心は、あまりにも重い選択を前にして意味を持ってくるのです。
相手を想うこと、そして愛を捧げること。その変遷を短い分量の中でまとめ上げた『インフェクテッド・イヴ』は、是非、セカイ系の空気を肌で感じたいという方にお勧めできる作品です!
世界が、彼女が、自分が……
災厄を目の前にし、もしそれを救う力が目の前にあるとしたら、自分はそれを振るえるだろうか?
本作を読み、一番に感じたのはそういう心理的リアリティでした
心君の心情に感情移入をしてしまいます。誰もが皆、前に進めるわけじゃない……
でも、彼が悩み、葛藤、そして前に進めることを祈ります……
神秘的な世界の中にある、確実なリアリティ
最後まで読んでみたい作品です! 続きを楽しみにさせてもらいます!
追記(最終話読了後)
心君……君は男だよ
愚かで、悩んで、疑って、それでも、君は一途に彼女を想ったんだ……
素晴らしき作品でした。東雲メメ氏、心に来る作品を読ませていただき、ありがとうございます!