青春SFミステリーもの。
序盤は普通に青春ミステリーですが、読み進めるにつれてSF要素が見え隠れし、後半は完全にSF作品でしたね。で、このSF要素がまた面白い解釈のもと緻密に作りこまれた設定であり、非常に読み応えがあって楽しみながら読むことができました。いやー素晴らしかったです。
そしてSF設定だけではなく、学園青春ものとしてもとてもよかったです。メインの少年少女の関係性が物語の本筋とリンクしており、読み終わったあとに心地よい読後感が得られる作品でした。
久々に私のストライクゾーンに入ってきた作品。個人的に文句なしの星三つです! 面白かったです。ごちそうさまでした!
ジャンルという仕切りは検索には便利だけれど、時に無粋となるもの。面白ければ良いじゃない、と思うわけですが。しかし、ミステリーの河を下っていたはずなのに、一体いつのまにこんな混沌とした沼地に踏み込んでいたのか、まったくわけがわかりません。
第五章からエピローグにかけて、語弊を承知で申し上げれば、最高に気持ちが悪かったです。いやいや待ってよあなたたちおかしいよ、と登場人物につっこみをいれながらも読み進めてしまう、この悪魔的な魅力よ。あるいは……作者自身があの目を持ち、読者を読んでいるのか。だとするならば、これは神の御業、福音なのかもしれません。なんて。
ともかく星三つ以外の選択肢がありませんでした。
クラスメイトが入院したらしい。
級長である「俺」は、
担任から彼女のお見舞いを頼まれた。
「俺」は幼なじみと共に、病院を訪ねる。
そこから次第に明らかになる、事件。
髪の長い、おとなしい少女が狙われる強姦。
最初は「儀式」と呼ばれた、頭の傷。
二重の犯罪の意味は? 目的は?
ただの刑事事件ではない。
単なるサスペンスではない。
頼れる生徒会長、攻撃的な体育教師。
役者が増える、謎が絡まる。
元気で明るい副級長の女子生徒、
友人のつてで知り得た天才中学生、
データ採取主義者の養護教諭、
軍隊長のようで頭脳明晰の担任。
過去の事件の鍵を握るのは誰?
彼女の果たす役割は何?
脳科学、精神外科の歴史的知識に基づいて、
戦慄をもたらすSF的ホラーは緻密に織り成される。
難しい。
その概念を理解することだけでも難しく、
その理想を呑み込んで受け入れることは至難。
『ヴィーヴルの目』が開かれるならば、
むしろこの恐怖は昇華されるのか。
わからない。
触れたことのない知識世界に触れて、
脳をぐしゃぐしゃに掻き回される感覚。
もっと知りたくなってゾクゾクする。
すごく好き。