謎が解けるたびに、深淵へ落ちていく。そう感じた。

クラスメイトが入院したらしい。
級長である「俺」は、
担任から彼女のお見舞いを頼まれた。
「俺」は幼なじみと共に、病院を訪ねる。

そこから次第に明らかになる、事件。
髪の長い、おとなしい少女が狙われる強姦。
最初は「儀式」と呼ばれた、頭の傷。
二重の犯罪の意味は? 目的は?

ただの刑事事件ではない。
単なるサスペンスではない。
頼れる生徒会長、攻撃的な体育教師。
役者が増える、謎が絡まる。

元気で明るい副級長の女子生徒、
友人のつてで知り得た天才中学生、
データ採取主義者の養護教諭、
軍隊長のようで頭脳明晰の担任。

過去の事件の鍵を握るのは誰?
彼女の果たす役割は何?

脳科学、精神外科の歴史的知識に基づいて、
戦慄をもたらすSF的ホラーは緻密に織り成される。

難しい。
その概念を理解することだけでも難しく、
その理想を呑み込んで受け入れることは至難。
『ヴィーヴルの目』が開かれるならば、
むしろこの恐怖は昇華されるのか。
わからない。

触れたことのない知識世界に触れて、
脳をぐしゃぐしゃに掻き回される感覚。
もっと知りたくなってゾクゾクする。
すごく好き。

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