ピリオドのない物語――だけど、ピリオドは打たれる

まず初めに、最初数話読んだところで――とくにヒロインである幽霊の少女・立花優菜が登場して、“自分にお願いはないか?”と尋ねたところで、オチは読めたと思った。おそらく感動して胸を震わせられるだろうなという予感はあったが、その予感は良い意味でも、悪い意味でも裏切られる。

読者の方は、こんな感想を読んでいないで、今すぐまっさらな気分でこの作品を読んでほしいと思う。そしてこの物語に胸を揺さぶられて欲しい。

主人公とヒロインのやり取りはコミカルでおもしろく、文章も分りやすく読みやすい。展開や描写、主人公の考えも丁寧に書かれれいるので、途中でつまずいたり、物語からはじき出されるようなこともなく没入することができるだろう。そして、何よりタイトルが素晴らしい!

僕が今作で良かったと思う点は、小道具の使い方だと思う。いくつかの本のタイトルが出るのだが、それが物語の中でもものすごく上手に機能している。

そして何より、この物語は――物語のピリオドが打たれる場所が、僕の想像と予想の一歩先なのだ! やられたと思ったし、素直に感動してしまった。

終りのない物語のほんの一部を、だけどかけがえのないひと夏の思い出と願いを――ぜひ、あなたにも読んでもらいたい!

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