武道館から始まり、武道館に至る物語という名の――GIG!

武道館で行われた『Bloody』のライブの帰り道、『Bloody』に憧れれるベーシストの少女ミリは、とある事件をきっかけに『Bloody』と出会う。
そして、ミリのベースの腕に目をつけた大空と大地――次の武道館ライブで一緒に演奏をしないかと持ちかけ、ミリの家族となるバンドメンバー探しがはじまる!

大まかなストーリーラインは上記のものだが、このメンバー探しがなかなかうまくいかず、二転三転としてハラハラさせる。意外な顛末や事件が待っていて、飽きさせずに物語を牽引していく。

僕がこの物語を読んで一番に感じたのは、文章の丁寧さと誠実さ。音楽用語のどれ一つをとっても読者に分りやすく説明が加えられ、全ての読者を結末まで導こうとする作者の誠実さが素直に感じられた。そしてその文章は読みやすく、下手な装飾もなく、これまた丁寧で誠実に綴られている。丁寧過ぎ、誠実過ぎるといっていいくらいだ。

『Bloody』の双子のメンバー大空と大地のヴァンパイア設定も見事であり、リアリティを失わない形で物語に落とし込んでいるのも素晴らしいと思った。ヴィジュアルも想像しやすく、彼らが歌う曲の歌詞も冴えている。

音楽を題材とした物語としての完成度は申し分ないと思う。

漫画原作コンテスト用の『第一章』ということで、今後大地と大空を巻き込んだ大きな展開が待っていると思うと、今から次のライブが楽しみでワクワクが止まらない。

伝説は――

まだ終わらないのだ!

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