これは、世界が重ならなかった物語

 人にはそれぞれ世界があり、その世界の拡がりが人と人との繋がりである。

 伝わらない、繋がらない、重なるわけがない、そんな世界だ。

 少年は、『目を閉じている』のだから。

 盲目。

 見えない世界に、彼女は、いない。

 閉ざされた世界に、少年は一人、佇む、そんな恋物語だ。