坂本龍馬って、こんな人物だったんた! と膝を打つ歴史IF物語。

ボコイ。ポケモンのピカチュウみたいな存在です。ピカチュウよりも脇役。読了すると「やはり主役か」と思いますけど。
主人公は子供ですが、物語構成上の主役は坂本龍馬。彼に振り回される子供の視点で物語は進みます。主人公が留守番する局面もあるわけで、そんな時はその後の大展開のネタ込めが裏でなされます。でも、読者は主人公の子供目線ですから、伏線を事前に察知できず、アッと驚く仕掛けです。
その物語とは、明治維新間も無い頃を舞台とした歴史IF物。多分に冒険活劇的な風合いを帯びてます。
作者のプロフィールを拝見するに、塾講師をしているそうです。担当科目は歴史じゃないでしょうか。
ラノベ的な砕けた文体ですが、歴史的背景の分析が奥深く為された上で物語を転がしているので、大人の読書に耐える水準に仕上がっています。150年前に、仮に坂本龍馬が生きていたとして、彼が本作品の様な行動を採っていたら、確かに大日本帝国は違った道を歩んでいたかも…と納得させる展開です。
コンテストに応募するなら、文字数を十数万字に制限しないといけませんが、この物語には30万字が絶対に必要です。とは言え、読み易いので、文字数に二の足を踏むのは勿体無い。
あなたも本作品が実力で数多の星を獲得した事に首肯するでしょう。高い確率で。
1つだけ解せぬ点は、孫文の存在。作者は続編を書く積りなのかもしれません。楽しみです。