維新史・異聞。大河ドラマに奇想を添えて

『リョーマが生きていた』くらいのことなら、思いついて執筆できる書き手はいるだろうが、そのリョーマが10年に渡って洋行し、そのかたわらには小さな子が――となると、なかなか発想できるものではないだろう。

それを軽々とやってみせ、しかも「ボコイ」というさらなる奇想も合わせてくるのが、サービス精神・チャレンジ精神旺盛なこの作者らしいところではなかろうか(かつての作品群を覚えている人はどのくらいだろう?)。
他にもいろいろある「仕掛け」を紐解くのも楽しい。維新史をある程度知らないと分からないところはあるかもしれないが、基礎教養レベルがあれば問題はないだろう。

書き手の目で見ても、「大河ドラマ」とはこう作るのかと考えることができる(その意味では平行して掲載されている『マチウ』も良いお手本)。

第一部完結ということで、さらなる展開を心待ちにしたい一作。