概要
不幸せの小箱
小さくのどかな村の少年アロイスは母と二人暮らし。「都」で働いているという父には会ったことがない。ある日、母から「おまじないをした」という手編みの毛糸の帽子を贈られる。帽子をかぶって出かけると、その帽子をきっかけにいつもなら起こらない出来事が重なり、これまでさほど親しくなかった級友たちとの距離も縮まった。思いがけない出来事が相次ぐことをアロイスは不思議に思うが、そのうち帽子を失くしてしまう。「おまじない」って何だ?
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!閉じられた村の安寧に疑問を抱くとき、少年は「外の世界」に気付く
児童文学、あるいは幻想文学として書店に並んでいても不思議ではない、とても格調高い文学小説です。
閉ざされた村で安穏と暮らす少年が、村の外に興味を抱き、脱出しようとする物語……と書いてしまうと平凡なあらすじですが、懇切丁寧に築き上げた世界設定と語り聞かせるような地の文が、圧倒的な没入感をもたらしてくれます。
隔絶された村の秘密。
仕組まれたような村人たちの名前。
同じような毎日を繰り返すだけの「作られた平和」。
村の外には、何があるの?
ふともたらされた毛糸の帽子から謎に気付き、箱庭と呼ばれる世界構造の真相に迫って行く過程は、夢中で読みふけりました。
1章あたり数万文字という区切り方な…続きを読む