ヒーローは一人ではない

『ヒーローは眠らない』の続編。
 良い作品を作ろうとする人々が相変わらず衝突する物語。関わる人々が増えれば増えるほど、作品を作るのが難しくなるというのが、読んでいてよく理解できる。

 プロだからこそ自分の仕事を第一に考える。他の誰かに苦労を強いることもある。場合によっては何か(誰か)を犠牲にすることだってある。もちろん逆に犠牲にされる場合だってあるだろう。

『立場』や『肩書き』、『個人的事情』による『断絶』がもう清々しいほどに盛り込まれている作品だと思う。読んでいて『一番苦労した人は誰だったのだろうか』と考えてしまう。

 もっともその断絶が『悪い意味だけではない』というのも、この作品の魅力になっている。互いに衝突しながらも、その中で妥協点を見つけ、結果を出すのもプロなのである。スポンサーだってけっして『駄作』を求めているわけではないのだ。たぶん。

 その反面、幾つかのエピソードから『結果さえ出せれば何をしてもいいのだろうか?』というような問い掛けも作品には込められている気がする。

 読んでいていろんなことを考えてしまう作品。
 序盤の『カエルのエピソード』も、それぞれの立場から考えてみると面白い。
 
 果たして誰が一番正しいことを言っているだろうか?
 これも読者によって答えが違うのではないかと思う。

 他にも登場人物に奇妙な共通点があったり、前作よりも構造的に複雑なのかナーと感じました。

 続編として更に世界観を広げてくれる作品なのですが、終盤付近に幾つか気になる部分もあるため、今回は星二つということになりました。ですが、前作を楽しんだ方ならば楽しめる内容になっていると思います。

 続編があればいいなーと思いつつ、レビュー終わり。

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