少年は生き抜くことができるだろうか?

 世界観自体はどこかで見たことがある設定の延長上だが、その使い方が丁寧かつ優れている作品。多くの登場人物がきちんと目的を持っているため、その世界で彼らが生きているということを実感できる良作。

『何も持っていない主人公がチートを得て成り上がる』というWEB小説では有り触れた展開なのだが、主人公と相棒の目的が完全に一致していないため、いつ破綻してもおかしくないという緊張感が常にあり、それが今後の展開を読み難くしている。

 登場人物たちの『価値観のズレ』というのも面白く、それぞれの『価値観』を理解することによって『彼らがどんな環境で生きてきたのか』ということを想像することもできる。

 文章に癖があり、多少読み難い部分もありますが、それを補っても余りある魅力がある作品だと思いました。
『科学文明崩壊の世界で、少年が逞しく生き抜いていく物語』を読みたいならば、ぜひお薦めします。

 このまま丁寧に物語が進んでいくことを望みます。