第26話 (白夜特急最終章)
私が「白夜特急」の旅をした理由は、自分の心の中にあったある
「想い」に決着をつけるためでした。自分にとってその旅は
「過去との訣別」の旅だったのです。
私が断ち切りたかったのは自分の心の中にあったある女性への「想い」
でした。その女性、Mと出会ったのは私が就職して二年目の夏、23歳の
時でした。当時彼女は19歳の短大生だったのです。
Mにはすでに交際する男性が居ました。Mの心はその男性と
私の間で揺れ動くこととなります。
しかし、Mは私を選ばず、いつのまにか私と連絡がとれなくなり
私の前から姿を消します。長い不在でした。
Mとの出会いから別れに至るまでの約一ヶ月の物語は
私はニフティサーブの掲示板#8で「夏の日」というタイトルで
書きました。もしかしたらここをお読みの方の中にパソコン通信時代からのコンピューターユーザーで読まれた方がいらっしゃるかも知れません。
一年半の空白の後、突然にMは私に手紙を送ってきました。もちろん、「片想い」という状態はそのままでした。私たちはそれからしばらくたくさんの手紙を交わすことになります。
しかし、28歳になった春に私は大きな決心をします。
「もう、片想いはやめよう」
私は過去と訣別するために長い旅をすることに決めました。
それがこの「白夜特急」の旅でした。旅立つ前に私は
Mに長い手紙を書きました。その手紙の中で私は
「もう片想いをやめること」
「最後にデートしたいこと」
この二つを伝えました。
旅立つ直前の7月初めに、私とMは東京で会いました。
有楽町のシャンテで、「ベルリン天使の詩」を観ました。
私たちは二夜を共にして、私はたった三日だけでしたが
Mの恋人であるという幸福を手に入れました。
上野駅でMを見送るときに私たちは三つのことを約束しあいました。
「ヨ-ロッパから必ず最低1通は無事を知らせる絵はがきを出す」
「お互い、結婚したら相手に知らせる」
「電話もしない、手紙も書かない。もう二度と逢わない」
そして私はヨーロッパに旅立ったのです。
旅の物語は「白夜特急1~25」に詳しく書かれています。
最終章は帰国してからの物語です。
もしもあなたが、1~25を読まれてどうしても
この旅の結末に興味がおありでしたら
そして、私のHPに置いてある他のエッセイや文芸評論めいた
数々の文章に対して、共感してくださるならば
最終章のことをお話しできるかと思います。なんらかの方法で江草乗にコンタクトをとってください。「江草乗」を検索すればすぐに連絡方法はわかりますから。
メールには必ず、1~25の物語を読んだ
感想をお書き添えの上でよろしくお願い致します。
白夜特急 江草 乗(えくさ じょう) @exajoe
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