新大陸で繰り広げられる、竜狩りの物語。設定の妙に舌を巻きました。
- ★★★ Excellent!!!
レビュアーとしてもとてもお世話になっている作者さんの長編です。少年時代に憧れた冒険物語を思い出すような、そんな印象を持ちました。
この物語の舞台は、銃火器がある程度発達し、絶対王政的な国家体制が整った「近世」、そして巨大で強大な「竜」が跋扈する新大陸。この設定の上手さに感心させられます。
いわゆる「ヨーロッパ中世風」を謳うファンタジー作品で、なぜか国家常備軍や都市の治安を担う「騎士団」、中央集権的な官僚機構が登場して白けてしまう、というのはよくありがちな経験。
また、都市や村落の周辺に、モンスターやらドラゴンやらが定期的にポップするといったよくある展開も、「なんでわざわざそんな場所に住むんだ?」という突込みが避けられません。
この小説の設定の上手さは、こうした難点を上手く回避しているだけでなく、竜との戦いに、まるで目の前で繰り広げられているような現実感を与えています。バトル描写が本当に上手いです。
注意点として、主人公は途中で大きな壁にぶち当たりながらもそれを乗り越えて成長します。主人公が少しでも苦戦したり悩むような展開がお好きでない方は合わないかもです。逆に、こうした熱い展開が好みの読者にはお薦めです。