そしてまた、イクトセイが刻まれる

 男と女、姉妹、令嬢と使用人。現代を生きる“最高の相棒”の二人を主軸に、いくつもの「イクトセイ」が時を超えて思いを結び紡いでいく、大河ドラマのような作品です。
 世の物語に多く語られる激しさではないけれど、確かに存在して揺るぎなく、なくせない想いの数々がすべて、懐中時計に帰結する。そして次代へ続いていく。その展開、場面構成もまた見事。性を意識し、変化する思春期の人間関係と心理描写にも共感して引き込まれました。