第9話少しの情報のために
「親父、牛乳をくれ。」
石を一つカウンターの上に置く。それを無愛想に取りグラスを渡した。
「あいよ。長い便所でしたね。」
「あぁ、最近は物騒みたいだからナニも縮こまってな・・・。」
牛乳を一気に飲み干す。ぬるい。まずい。クソッタレ。こんなもんを頼む奴の気がしれない。
「最近も確か事件があっただろ、なんだったか・・・。」
「ガンデル市でエルフ二匹がよそ者を誘拐したらしいですな。なんでもそのよそ者はコボルドを無傷でなんと2体も殺したらしいですぜ。」
次の牛乳をグラスに注がれそうになり手で静止する。
そうか二人が指名手配されていて俺が誘拐・・・何だって!?どうなってんだ!?
俺が指名手配されているかと心配していたのに全く取り越し苦労じゃねぇか!
これで酒が飲めるぞ!
「ここで一番うまい酒をくれ。」
酒場の親父は牛乳を仕舞うと酒が並んでいる中で真ん中にある酒瓶を手に持ってくる。
「ガンデル国の酒はどれもうまいですがやっぱり‘これ’ですな。」
ミルクを飲み干したグラスに注がれる液体は黒く濁るというより染まっていて気泡が出ていた。
「これは・・・なんだったか?最近物忘れが多くてな。」
「コーラですよ。ガンデルコーラ。」
グラスに右手を添えたがいいが、なんだこの真っ黒の飲み物は。絶対にアルコールよりも体に悪いモノが入っているだろ。
グラスを手に持ち少し傾けて「ガンデル王国に」そしてついに口に流し込んだ。
「この喉越しがたまらねゲップやっぱりこれがゲップ。」
なんだこれ!?やっぱり駄目なヤツだろ。シュワシュワしてたのが今思えば火薬みたいじゃねぇか。ていうか火薬を煮詰めて作ったんじゃねぇのか!?
甘ったるくビールよりもシュワシュワしていてアルコールが鼻にきく。
「なぁ、ここで雑貨屋ってどこが近いんだったか?」
「ああ、テキトーって名の雑貨屋ならすぐ右隣にありますよ。食材からなんでも揃っています。」
「すぐそこか!そりゃ良い!ならば・・・。」
半分ほど残ったコーラを飲み干す。
「コーラってヤツをもっと持ってきてくれ。」
「しかし旦那、いくらコーラがうまくて飲みやすいって言っても度数も・・・それにこんな真昼間から。」
「俺は気ままに生きてきたんだ。朝に寝て昼に起きて酔っ払って何時寝ようが関係ねぇだろ?あんたは俺のお袋かい?」
「まぁ、旦那がそう言うなら・・・」
コーラをグラスに注がれる。その瓶を戻そうとした時にまた静止して瓶をカウンターの上に置かせた。
これで手土産の情報と酔っ払いの完成だ。
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