第7話さすらう用心棒

 暗い闇の中で体が浮き沈みし始めると閉じていた目を開けた。

どこかで見た・・・ああ、クソったれハルバートの中じゃねえか!何でまた俺はこんなもんに乗ってんだ!


「あら、目が覚めた?」


 ハルバートを操作しているどこぞの少女に声をかけられる。

辺りを見渡すと俺の正反対の場所で座って静かに本を読んでいる13歳ほどの少女もいた。


「何で俺はまたこんなもんに乗せられているんだ!?」


 乗り心地最悪なハルバートでご機嫌に目が覚めた俺を見た少女が目を白黒した。


「あら、ビットマンさん。貴方がここから連れ出してと言ったからこのハルバートを騎士達からかっぱらってきたのよ?」


 次はこっちが目を白黒させる。ヒーロー扱いをされハルバートで何処かに連れて行かれた所までは覚えている。

しかし、どうにも『俺をここから連れ出して』何て言った覚えもない。何かをした覚えがない。

記憶の引き出しを明け散らかした中で佇んでいる気分だ。


「私の名前はカルディナ。カルで良いわ。そして、そこで読書中なのがゴールディ。私の妹よ。」


 どうにも府に落ちない。何か大事なことを忘れている事が分かっているのに思い出せずにいる。

ただ一つだけ確かなのは―――


「俺をどうするつもりだ?」


「安全な目的地まで私達か弱い少女の護衛よ。報酬も出すわ。そして、貴方を元の地に戻すことも。問題ないでしょ?」


 少女―――カルがニヒルに笑う。

俺にとっても都合は良い、仕方なく用心棒として買われよう。

「OKだカル。俺は安くはないが買われてやろう。」

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