第4話 予想外の事実を聞かされて――
今、足の付け根部分が透け……僕は気付き始めていたのかもしれない。この時は何でお前ばっかりという感じの洸太の
気のせい……だよね……でも……最近ずいぶん怪我をしているみたいに体のあちこちに包帯が。なんて表現したらいいか、どうも嫌な予感を覚える。僕はその日1日、不安の象徴に苛まれたまま、すごしたのである。
次の日、僕はそんな日常に変化が起こる出来事なんて起こり得ないと自分を納得させていた。中学校までの道のりを歩く。
「あ!」
僕の家と葉子の家は通学路にあるので偶然一緒の時間帯に通学する事がある(ただ、大半は前だけを向いて歩いている葉子に声をかけたり出来ないのだが)
(葉子)
僕は葉子への心配が杞憂に終わったかとホッとした。だけど葉子の怪我している箇所が増えていたのを見て自己嫌悪する。
「ようちゃん」
葉子の家から葉子ママが飛び出してきて、切羽づまった感じの大声で葉子の登校を止めようとしているのがわかった。
「ようちゃん! その状態で学校に行くなんてやめてちょうだい!! 心配なのよ……っ」
「ママ!?」
僕は様子を見るために立ち止まっていた。葉子は心配してもらっているのは感謝しているだろう。だけど学校で何か大切な事があると説得している葉子の声が僕の耳に届く。
「お願い!!」
葉子が心配かけまいと、笑顔で手を振っていた。
「平気だから! 行ってくるね」
「ようちゃん……」
どこか憔悴している葉子の母親の姿を見て、僕は話を聞くために声をかけようと決める。
「……お久しぶりです、おばさん!」
「! 秀英くん!」
口に手を当てた葉子の母親が言葉を絞り出す。やはり昨日からの悪い予感が……と思いつつも聞かずにいられなかった。
「おはようございます。その……葉子どんな生活をしているんでしょう……? 最近怪我が多くありませんか? 心配で……」
葉子の母親は僕になら話してもいいと思ったのかもしれない。葉子の母親が、僕の母親に連絡を取って、僕がやむを得ぬ事情で学校を遅刻するのを連絡するよう頼み終わるまで通されたリビングで待っていた(後日、葉子の母親は僕の母親にも覚悟を決めて相談に乗ってもらったとか)僕は葉子の母親から話してもらった事実をどうするか考えるしかない状況に立たされる事に。
「……怪我だったらどれだけ良かったか」
葉子の母親のこのつぶやきもどれだけやりきれない思いを抱えていたのだろうと思うのに十分すぎた。
僕もそんなどうしようもないって状況と状態を聞かされて、すぐに学校へ向かうのは無理だった。葉子の母親にとってそれは想定内だったようで落ち着くまでいさせてくれる。午前中いっぱい僕は考えを整理させてもらったので何とか昼休みには学校に登校した。クラスに入って荷物を机に荷物を置いていたら、葉子に強引に廊下まで連れて行かれた。
「ちょっと! 秀英、遅刻なんて何があったの? 午後登校とか。不良にからまれたのかな? とか、何らかの犯罪事故に巻き込まれたりなんて思っちゃったわよ!」
「えっと、そんな2番めの様な状況になりそうな危ないのには関わらないよ……一不良は経験あるけど」
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