第2話 僕ってわかりやすいのかなぁ……
◇ ◇ ◇
だから――――
だから僕は君きみのことが……が……
中学校一年生の三学期、僕は髪の毛が少しクセついて少し犬耳のようになってしまっている。そんな特徴的な同級生だとクラスの全員に印象づけられてしまっていてキャラが立っているとポジるのもあり? と良いのか悪いのか思案に暮れている。
ちなみに部活には入っていないので帰宅部だ。僕は放課後に誰も戻って来ない曜日と時間を見計らって秘めていた想いを手紙にして恋文の形で幼なじみに向けて書いていた――
「…………」
そりゃ好きとか可愛い君が、とかそういうことを書いちゃったよ。それでもまさか僕の席斜め前と後ろの女生徒が同時に忘れ物を取りに来るなんて……気づいていなかったからより恥ずかしい。その時僕は恋文を読み返して恥ずかしさを押し殺すために大声をはりあげているところだったから。
(そうそう、女生徒二人とも、僕に気を使ってそっとしておいてくれました)
僕は、活発な幼なじみの彼女にこんな気持ちの伝え方じゃ相手にしてもらえなさそうだと悪い考えが頭の中で回り続けて落ち込みようが半端じゃなかった。
「こんなの
涙目の僕は書くだけ書いた手紙だけど、渡せる気がしなくて乱雑に扱った。結果ぐしゃっと紙を丸めてしまいゴミ箱に捨てた方がいいかと迷っていた――とその時、手紙を渡したい子に声をかけられる。
「私の机の近くでなにしてるのかな~、私に用でもあんの?」
想い人に背後から訊ねられて、僕は驚きのあまり変な声をあげてしまった。
「うぴぇええええ!!」
心の準備もまだだというのに、あまりに急な出来事だったので椅子から転げ落ちる。
「なーに」
僕が好意をよせている葉子。今の彼女は運動の帰りだからか髪を束ねていた。運動の時以外は茶色がかった髪をおろしている。どっちの彼女も可愛くてたまらない。身だしなみもきちんとしている葉子に普段なら見惚れてしまうのだが、今は想い人だって僕がそこまでの感情を抱いたとバレたくないのでどうにかごまかそうとした。
「オーバーリアクションすぎない?」
「えっと……ごめ……考え事をしていたもんで」
僕は椅子から転げ落ちたから地味に痛いとか、別の事に意識を集中しようとする。
「悩みとかじゃなさそう。考えてたって?」
女の勘なのか、僕がわかりやすい性格なのか……
「もしかして私について考えていたりして」
正面から葉子に見つめられたままなので、否定の言葉を絞り出そうとしても無駄かと観念する。
「ううん……えーっと。なぜバレている感じなのかな……」
そんな僕に葉子は僕しか見たこと無いんじゃないかと思わせる極上の笑みを見せてくれた。
「えへへっ。それならいいわ」
あまりに葉子の微笑みが可愛らしすぎたので、僕は幼なじみの魅力を更に発見した気が!
「葉子ー、行こうよー!」
「うん、待ってて! 今行くから」
葉子が友達に呼ばれて帰るところだったなんて幼なじみにメロメロになっていた僕は気づかずにいた。
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