誰もが強いというわけではないから

 僕は直接うつ病と診断されたことはないが、そうなってしまう傾向は多少なりともあると自覚している。
 ここに書かれている「うつ病」の症状であるとか、それに対しての思いというものは断じて他人事ではない。僕にとって、というだけではなく、多分、誰にとっても。

 誰だってこうなる可能性はある。僕も、これを読んでいるあなたも。

「電車の中で、ウォークマンの音漏れが、昔は気になってイラついていた。今は、自分が垂れ流しているかもしれない状態で、そうなって初めて、もしかしたらかつて俺がイラついた知らない誰かも、同じ病気を抱えていたのかもしれない、と思い当るようになった。」

 この一文が、僕の言いたいこととピッタリ合致している。
 みんながみんな、一度も折れずに、くじけずに生きていけるほど、強いわけはない。そんなわけはないのだ。

 だから、少しだけでいい。このエッセイを読んで、誰もがかかりうる「うつ病」というものについて考えてみてほしい。

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